高温超電導(HTS)磁石
#用語解説
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実用化に向けて着実に進歩する高温超電導技術:開発秘話:活動事例 | エネルギーシステム技術開発センター | 東芝エネルギーシステムズ
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高温超電導(HTS)磁石とは?
高温超電導(HTS)磁石とは、高温超電導体を利用した磁石のことです。高温超電導体は、従来の超電導体(低温超電導体)とは異なり、液体窒素のような比較的高い温度(77K = -196℃程度)で超電導状態を実現する材料です。これにより、従来の超電導体よりも冷却コストを大幅に削減できる可能性があります。
高温超電導体として代表的な材料には以下があります
ビスマス系超電導体(Bi-2212, Bi-2223)
イットリウム系超電導体(YBCO: Yttrium Barium Copper Oxide)
鉄系超電導体(まだ研究段階)
これらの材料は、超電導状態になると電気抵抗がゼロになり、大電流を流せると同時に、強力な磁場を生成できます。
核融合炉におけるHTS磁石の役割
核融合炉では、プラズマを高温・高圧の状態で閉じ込めるために、強力な磁場が必要です。トカマク型やヘリカル型の核融合炉では、トロイダル磁場やポロイダル磁場を生成するために超電導磁石が使われます。
HTS磁石が核融合炉で注目される理由は以下の通りです
高い臨界電流密度
HTS材料は、低温超電導体よりも高い磁場下で超電導状態を維持できます。核融合炉内部では、10T(テスラ)以上の強力な磁場が必要とされますが、HTS磁石はこれに耐えられる特性を持ちます。
高い運転温度
低温超電導磁石(例えばNbTiやNb3Sn)は液体ヘリウム(約4.2K)での冷却が必要ですが、HTS磁石は液体窒素(77K)や液体ヘリウムの中間温度(20-30K)で動作可能です。これにより、冷却コストが削減され、炉全体の運転効率が向上します。
緊急時の安全性
HTS磁石は、低温超電導磁石と比べて「クエンチ(超電導状態の突然の崩壊)」が起こりにくい特性があります。これにより、核融合炉の安全性が向上します。
より小型化した炉設計が可能
HTS磁石を用いると、磁場強度を従来より高められるため、核融合炉全体を小型化できます。これにより、建設コストの削減や実用化へのハードルが下がります。
HTS磁石を利用した核融合炉の具体例
SPARC
アメリカのCFS(Commonwealth Fusion Systems)とMITが開発しているSPARC炉は、YBCOを使ったHTS磁石を採用しています。これにより、既存のトカマク炉よりも小型で高効率な設計を目指しています。
課題と今後の展望
HTS磁石には多くの利点がありますが、以下の課題も存在します:
製造コスト
HTS材料の製造はまだ高価で、大規模な炉に必要な量を確保するにはコスト削減が必要です。
冷却システムの最適化
HTS磁石は冷却コストが低いとはいえ、液体窒素や中温域冷却システムの設計が必要です。これを核融合炉全体と統合するには技術的なハードルがあります。
長期的な耐久性
核融合炉では、磁石が高い中性子フルエンス(中性子照射量)にさらされます。HTS材料がこれにどれほど耐えられるか、長期的なデータはまだ不足しています。
核融合炉におけるHTS磁石の未来
HTS磁石は、次世代核融合炉の実現に向けたキーテクノロジーと考えられています。その高い磁場耐性と効率性により、核融合炉の小型化や実用化を加速させるポテンシャルがあります。今後、製造技術の進展とコスト削減が進めば、HTS磁石が核融合炉設計の標準技術となる可能性があります。
HTS磁石の研究って多分伸びしろめっちゃありそうmasaharu.icon
https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=HTS%E3%80%80コイル
材料研究ってめっちゃ大事だよなぁ