球状トカマク
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球状トカマク(Spherical Tokamak, ST)は、通常のトカマクと異なり、より球体に近いプラズマ形状と小さい中心空洞が特徴で、核融合プラズマの閉じ込めにおいて効率の良い設計とされます。この球状トカマクは、従来のドーナツ型トカマクの問題点を克服し、経済性や運用性を向上させた次世代の核融合炉候補として注目されています。 1. コンパクトな設計
STの設計は、プラズマの中心軸部分にある中央柱を小さくし、全体が球状に近い形状を持つため、トカマクよりコンパクトな装置構成が可能です。中央柱が小さいことで、中心部に配置される磁場コイル(TFコイル)も小さくでき、装置全体の大きさが抑えられます。これにより、狭い空間での設置が可能であり、将来的には宇宙空間での利用も視野に入れた設計が可能になると考えられています。 3. 低コストでの実現性
球状トカマクは、必要な磁場の強度が従来より低いため、コイルにかかる負担も軽減され、装置全体の建設・運転コストの削減が見込まれています。加えて、STのブランケット(放射線から装置を保護し、中性子を吸収して発電を行う機能)の交換が容易で、メンテナンス性が向上しています。これにより、稼働寿命が長く、維持費も抑えられる点が商用化において重要なメリットとされています。 4. 高い技術要求と課題
一方で、STの構造には中央柱が細いため、中央に配置される磁場コイルへの負荷が高く、耐久性が課題となります。高いプラズマ圧力を維持しつつ安定させるためには、装置全体の精密な制御が必要で、通常のトカマクよりも高度な技術が求められます。加えて、プラズマの電流を維持するために、プラズマ自体が生み出すブートストラップ電流を最大限活用する必要があり、これにはプラズマの輸送障壁(ITB)を適切に維持するための工学的工夫も重要です。 5. 将来展望と応用可能性
球状トカマクは、効率の良い高β閉じ込めとコンパクトな設計が可能であるため、将来的には商用核融合炉としての応用が期待されています。さらに、トリチウムを用いる従来のD-T反応に加え、放射線が少ないD-D反応やD-3He反応も視野に入れた開発が進められています。これにより、放射性廃棄物を抑えたクリーンなエネルギー源として、宇宙でのエネルギー供給源としても期待が高まっています。 このように、球状トカマクは次世代のエネルギー生成手法として、現在のトカマク研究と並行して研究が進められています。 masaharu.icon
昔これを読んだ記憶がある