ソフトスキルとハードスキルという区分に意味を感じない
#仕事 #思考の癖
よくビジネスの場で「ハードスキル」と「ソフトスキル」の区別が言われる
ハードスキル=プログラミングや簿記やAdobeソフトの使い方など、専門知識と呼ばれるスキル
ソフトスキル=プロジェクトの進行やコミュニケーションなどの汎用スキル
が、f_subal.icon はこの区分はしばしば無理があると思っている
なぜなら「あるスキルが汎用的であること」と「そのスキルがどういうジャンルに属するか」はさほど相関がないと思っているからだ
ハードスキルとソフトスキルという区分は、この2つに相関があることを前提にしている
「コミュニケーションのように、専門分野っぽくない能力は汎用的だし、逆もしかりである(汎用的なものはどの専門分野にも属さない)」という発想の産物である
いっぽう私 f_subal.icon は、その前提がそもそも間違っていると考える
「ソフトスキル」というものが実在すると考える人は、スケジュール管理や論理的思考やコミュニケーション能力のようなものが、ツールの知識や専門分野と独立に得られるという想像をしているように見える
そんなわけないじゃないか、と思う
十分にポータブルなスキルは複数のツールに転用できるが、特定のツールに習熟せずにその領域に達せられるケースはないのでは
たとえば Jira にも #Notion にも GitHub にも…詳しくないのにプロジェクトの管理が上手い人、というのは想像しづらい
あるいはそういうツールに親しんでなくとも、Excel や紙のカンバンを人よりうまく使いこなすだけのスキルと経験を持たない「プロジェクトの管理が上手い人」って何?となる
ものすごい達人のスキルでカレンダーや模造紙を使いこなす人は昔はいたと思うが、もしそうならそれができることを見せるべきだろう
コンサルの人とかはこの種の技能を専門的に身に着けているイメージがある
ミーティングをうまく進めるためのスキルとしてワークショップの方法論(KJ法、マインドマップなど)に詳しいとか、スクラムの考え方を学んでいるような人はかなりの場合「専門家」と呼ぶべきだろう
「よく考えると専門分野があるんだけど、みんなが身につけるべき教養とされてるせいで間違ってソフトスキルと呼ばれている」ようなものがしばしばあると思う
プロジェクトやスケジュールの管理法などはこれに該当する
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これはソフトスキルという単語を誤用する人が悪いとも言えそうだが、私はそもそも正しくそう分類できるものはこの世に一部しかないと見ている
せめて2軸4象限にしてみてはどうか?(お望みなら3軸以上に増やしてもよいだろう)
table:スキルの象限
職種や立場に依存する 職種や立場を問わない
分野として体系化される知識 プログラミングの知識など 論理的思考、プロジェクト管理など
分野がない、体系化されない知識 意思決定、政治的に振る舞う能力など? 会議を進めるコツ、発想法など
分け方としてこれがベストとは思わないが、いずれにせよ現行の「ソフト/ハード」という軸はこの問題を語るのにさほど適してないと考えられる
1つの軸で語りたいなら、単に「ポータブルスキル」という言い回しさえあれば十分ではないか
Notion のデータベースで難しいことをするのは通常ハードスキルに属するだろうが、考え方はポータブルだ
結局ソフトかハードかは、複数の軸が混ざったものだ
だから分解された方が良い
一方、ポータブルかどうかはより単純な軸と言える
あるいはドメイン知識かそうでないかで区別してもよいだろう
もっとスキルっぽくない側面(チームメイトと仲良くやっていけるかどうか)の話をしたいのであれば、最初から性格の話をすべきだ
つまり、「同じチームに置きたい(あるいは置きたくない)性格かどうか」である
結局のところ「 #コミュニケーション 能力」というのは、性格の話に無理に「能力」というラベルを付けようとした結果失敗した概念にすぎないのでは?
#人格もまた能力の一種である
#人格と能力について