ドイツ『デア・シュピーゲル』誌の「食肉と温暖化 —気候を直撃する肉牛 (Meats' Contribution to Global Warming: 'The Cow is a Climate Bomb')」は、牛によって排出されるメタンガスが二酸化炭素の二三倍の温室効果をもつと報告している (Schiessl & Schwägerl, 2008)。 Foodwatch (*)は、ドイツ人の平均的な肉食量を車の走行距離(BMW社 118 d 119g Co 2/km)に換算し、肉食の温室効果を紹介している。 極端な菜食主義者(ヴィーガン)の換算走行距離六二九kmに対し、 一般的肉食者は四七五八kmであり、 肉食者がヴィーガンの七倍以上の温室効果をもたらすことを示唆している。このことは、個人の食行動や食事パターンが、個人の健康維持や嗜好にとどまらず、 社会的影響力をもつことや、 特に肉食がイデオロギーとして扱われていることを示唆している。現代思想2022年6月号 特集=肉食主義を考える——ヴィーガニズム・培養肉・動物の権利…人間-動物関係を再考する ・コオロギは肉食のジレンマを解決するのか大森美香 98ページ