積読
書物を買いもとめるのは結構なことであろう。ただしついでにそれを読む時間も、買いもとめることができればである。しかし多くのばあい、我々は書物の購入と、その内容の獲得とを混同している。読書についてp.137 積読は、書物の本質的な在り方のひとつなのです。本を読まずにただ置いておくとき、それを読まないでいる「うしろめたさ」がつのるあまりに、つい忘れてしまいがちな性質ですが、読まずに置いておく、というのは書物の本質を尊重する態度です。(中略)
たしかに本は、「読むためにある」という性質を持っています。しかしそれと同時に、矛盾するようですが、「読まれないため」にも本は存在しているのです。本という形態は、それを読まずに「とっておく」ためにも機能するようにできているからです。 永田希. 積読こそが完全な読書術である (Japanese Edition) (p.28). Kindle 版.
現代を生きる人は、社会で進行している積読環境に抗って「自分なりの積読環境」を構築しなければなりません。情報の濁流という大きな積読環境のなかに、自作の積読環境を生み出し、運営するのです。情報の濁流のなかに、ビオトープを作るということです。 永田希. 積読こそが完全な読書術である (Japanese Edition) (p.34). Kindle 版.