民主主義
そして、ロレンスは、〈バビロン = 富める邪な人々〉に対する弱者の復讐心こそが、「平等」と「民主主義」への意志を成り立たせているのだと言うだろう。 「大地」 や 「自然」 との連環を絶たれ、断片と化した弱き個人の群れ(大衆)の不安に付け入って、 それを集団的な "数の力" へと組織すること。 そのとき旗として掲げられたのが 「民主主義」 という理念だった。 つまり、 「個人の自我実現」 を使験してきた近代の資本主義は、 しかしその一方で、 自由のなかで不定形となってしまった個人の心を、 「民主主義」 による社会改良の夢によっても吊り支え続けなければならなかったというわけだ (この予言通り、 その黙示録的ユートピアの夢は、ロレンスが死んだ直後にファシズムやコミュニズムなどの全体主義として実現されることになる)。反戦後論 浜崎洋介 ・ 221ページ