怪談
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"怪"とは、それを眺める日常の内にあることを、日常を放棄させられたことを逆手にとって、歌舞伎は観客にこっそりと突きつけた。毒薬を運ぶ乳母が、なんの罪もない"庶民"であるならば、観客だとて同じなのだ。「観客とは、自らが"怪"であることを免れる特権に与っていたものである」ということを明らかにする為に、毒薬を運ぶ乳母という"名もない庶民"は、"善"にして、"美"にして"若い"という、そういうお世辞を、鶴屋南北という劇作家は、それとなく使ったのである。江戸にフランス革命を!橋本治pp.94, 5