学ぶ
「シャルリュスさんでわたしがとりわけ興味を覚えますのは、あのかたには天賦の才が感じられることです。そもそもわたし、知識には目もくれません。学んで身につくものなどには興味をそそられませんので。」この発言はカンブルメール夫人の特殊な価値となんら矛盾するものではなかった。というのも夫人の価値は、ほかでもない、模倣して身につけたものだったからである。ただしその時点で学んでおくべきだったのは、知識にはなんの価値もなく、独創性と比べれば藁しべほどの重みもないということであろうお。カンブルメール夫人が学んでいたのは、ほかのことでもそうであるが、なにも学んではいけないという意固地であった。失われた時を求めて9巻 pp.179-80