兵は拙速なるを聞くも、未だ巧久なるを賭ざるなり
故に兵は拙速なるを聞くも、未だ巧久なるを賭ざるなり。 夫れ兵久しくして国の利する者は、未だこれ有らざるなり。 故に尽々く用兵の害を知らざる者は、則ち尽々く用兵の利をも知ることわざるなり。孫子 29ページ
だから、戦争には拙速 {まずくともすばやく切りあげる}というのはあるが、巧久 {うまくて長びく}という例はまだ無い。 そもそも戦争が長びいて国家に利益があるというのは、あったためしがないのだ。 だから、 戦争の損害を十分知りつくしていない者には、 戦争の利益も十分知りつくすことはできないのである。孫子 31ページ
「あったためしがない」という断定がすごい。孫子全体でずーーーっと戦争について語っているが、その内容は「戦争だけはやめとけ」「できるだけやめとけ」。言ってみればタイトルは「釣り」。「戦争に絶対勝つ方法 これを知らずに負けてませんか?」みたいなタイトルで手に取らせ、中では延々「戦争ってのはできるだけやるもんじゃない」「やるにしても最小限で切り上げろ」「やる前の部分でなんとかするのがサイコー」、要するに戦争をやめろと言っている。
ちょっと話離れてギャンブルだとか人生訓として捉えられるかもしれない。オンラインカジノが話題になっているが、あんなもん、長くやってなんとかなることなど一切ないわけで。それこそ「久しくして利する者は、未だこれ有らざるなり」だろう。人生訓としても非常に重要で、要するにバトルで負けたときの損切りの話として捉えると、巧拙と長短の4象限マトリクスなわけじゃん。
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状況としては①相互にともに失うものが大きい。②敗色濃厚なときに特に思い出したい言葉。離婚裁判とかね......。
本日の孫子