信念についての信念
ある特定の考えを持つことで善い人間になれる、と考える根本的な考えのことを、 ダニエル・デネットは「信念についての信念」 と呼んだ。 この根本となる考え ( 「Xだと信じるべきだ、 なぜなら善い人は Xだと信じていて、Xだという考えを棄てると悪い人間になってしまう」) こそが、 理にかなった反証の基準を理解し承認することの妨げになっている。話が通じない相手と話をする方法 ピーター・ボゴシアン ジェームズ・リンゼイ・位置2930
こうしたわけで、 人が自分の信じていることを改めることがめったにない理由は、 自分の考えが誤りになる条件を想像できないからではないことが分かる。 むしろその理由は、 考えを改めてしまうと、 自身の (道徳的) アイデンティティが傷つけられかねないという点にある。 別の言い方をしよう。 他人の考えを変えさせるというのは知性や認識論の問題にとどまらず、道徳 〔生き方〕の問題にもなってくるということだ。(これこそが、議論に事実を持ち込んでも相手の考えを改めさせるのにはほとんど役に立たないもう一つの理由である。)話が通じない相手と話をする方法 ピーター・ボゴシアン ジェームズ・リンゼイ ・ 位置2940