ヴィーガンの定義
moriteppei.icon特定の思想だけを指す言葉として「ヴィーガン」って使うのどうなんだろ。現代思想の特集ですら「動物解放からのヴィーガンもいる」のような書き方で他のあり方もある書き方をしていた。食生活だけにその実践がとどまらないことは理解しているが、最近のスレッズで見るそれはヴィーガン概念のマウンティングみたいになってて疑問も感じる。
「ヴィーガン(あるいはベジタリアン。本書ではヴィーガニズムに焦点を当てますが、その理由は後ほど明確になります。)になることを選ぶ人の中には健康のためという人もいるかもしれませんが、多くの場合は動物を食するのを非倫理的だと思い、肉を食べるのを止めるのです。」伊勢田哲治; 井上太一; 石川伸一; 一ノ瀬正樹; 福永真弓; 藤原辰史; 山口未花子. 現代思想2022年6月号 特集=肉食主義を考える——ヴィーガニズム・培養肉・動物の権利…人間-動物関係を再考する (p.43). 青土社. Kindle 版.
現代世界の「食」についてのこのような状況認識に立ち、 筆者は、本稿において、 自然倫理、 動物倫理、植物存在論、肉食批判、完全菜食主義 (végétalisme/véganisme) 反種差別主義 (antispécisme)などに関わるフランス語圏での近年の哲学的諸研究に目配りしつつ (2) 「食」をめぐる学際的哲学的議論の端緒の一つを開くことを試みる。現代思想2022年6月号 特集=肉食主義を考える——ヴィーガニズム・培養肉・動物の権利…人間-動物関係を再考する・食べられるものたちから世界の見方を学び直す 個体主義的世界観から多元的コスモロジーへ 黒田昭信221ページ
カーニズムという言葉を提唱しているメラニー・ジョイという社会心理学者の言葉です。これを見ると健康のためなどの理由で一定の食生活や生き方を実践する人のこともヴィーガンと言っています。
ヴィーガンというライフスタイルは食生活のみにとどまるものではないのはその通りだし、その点での誤解を訂正するのは重要であるとしても、他の動機から動物性食品を摂らない人もヴィーガンと言える可能性を残しておいたほうが概念上も豊かだし、動機は異なっても連帯できる可能性があると思います。広義のヴィーガン、狭義のヴィーガンって分けたほうがいいのかもしれない。そもそもがヴィーガンという言葉は、ラテン語の『vegetus』(活気ある、健康な)からきてるし。自身の健康も当然関心のうちに入るライフスタイルとして広義のヴィーガンを定義したほうがいいと思う。