ファンは自信がない
ファンは意外と自信がない。なので、他のファンのオーガニックな言葉に触れやすいようにして、自分が支持している「価値」に自信を持ってもらうことが必要だ。それは共感を高め、ファンからのオーガニックなオススメを起こりやすくする。ファンベース / 佐藤尚之 • 109ページ
雑誌『レタスクラブ』は売上がずっと低迷していたのだが、 2016年に松田紀子編集長に代わって半年、様々な改革を行い、 三号連続で完売するなど絶好調になった。 紙の雑誌の凋落が言われて久しいし、しかも今年創刊30周年目の老舗雑誌である『レタスクラブ』 が、 ある日から急に売れ出すというのはそれなりに革命だとは思うが、ここで言いたいのはそのことではない。 「売れ出してからも、ネット上でもSNS上でも誰も何も言わなかった」 という事実である。 松田編集長に訊いたところ、完売するようになってからも、誰ひとり 『レタスクラブ』 を褒めたりオーガニックなオススメをしなかったそうである。 ところが。売れ出してからずいぶん経ったある日、 あるネットメディアが『レタスクラブ』の急伸を取り上げ、 また、ある読者が『レタスクラブ』が面白くなった理由を挙げつつ、 まとめサイトを作ってくれた。 その途端、今まで無言だったファンたちが至る所から現れ、 「最近の 『レタスクラブ』 おもしろいよねー」 「私、昔から『レタスクラブ』大好き!」「『レタスクラブ』、 すごく良くなったよねー」 などと投稿しだしたのである。 そう、『レタスクラブ』のファンは 「褒めていいのかどうか、 友人に薦めていいのかどうか、 自信が「なかった」のだ。 メディアが取り上げたり、 友人が褒め出したりして、一気に 「あ、褒めていいんだ」「『レタスクラブ』 を好きな自分ってイケテルんだ」 「友人に薦めてもバカにされないんだ」とわかり、今まで閉じていた口を開き始めたのである。2025/7/20 ファンベース / 佐藤尚之 120ページ
同じ意味で、メディアによる記事や動画、そしてそれらがバズることもファンの自信につながる。 バズは、新規顧客への拡散と認識している人が多いが、この時代、それがリーチすることはそんなに簡単ではないことは第二章で書いた。 それよりも、バズは「ファンに自信を持たせるのに効果的な方法」 と捉えるべきである。 逆に、単に話題になることだけを狙ったあざといバズは、 そんなに効果的ではない。 ファンの自信につながらないからだ。ファンベース / 佐藤尚之 122ページ
ファンは意外と自信がない。 なので、他のファンのオーガニックな言葉に触れやすいようにして、 自分が支持している 「価値」 に自信を持ってもらうことが必要だ。
この項目は意外と盲点であり、見過ごされていることが多い。 ファンであることに自信を持ってもらう施策である。 何のこと? って思われるかもしれない。 でも、ファンって意外と不安に苛まれているのである。「この商品が好きな自分ってイケテルのか」 「この商品のファンって言って笑われないか」「この商品を友人に薦めても大丈夫か」 など、 意外と自信がないのである。 自分の価値観や選択眼に自信がある人はごくごく一部で、 みんなそんなには自信はない。 特に日本人は自分に自信がない。「日本人は世界で一番悲観的な国民」だし (「2017エデルマン・トラストバロメーター」)、内閣府の調査でも、日本の若者の自己肯定感は世界でも最低レベルという結果が出ている(『平成26年版 子ども・若者白書』)。つまり、自信がないわけだ。ファンベース / 佐藤尚之 119ページ
なので、まずファンであることに自信を持ってもらわないといけない。 それにはまず 「他のファンのオーガニックな言葉を読むこと」だ。 そうすると、 彼らは急に 「あぁファンでよかったんだ」 と自信を持つ。そして、他の人もこう言ってるし、 と、 友人に胸を張ってオススメするようになるのである。ファンベース / 佐藤尚之 120ページ