ハンナ・ギャズビーのナネット
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すんごい意識の高い、WOKE芸人っぽい笑いを期待してワクワクして見てみたらもう完全にこちらの想定外。同じことを日本の芸人がやったら「ルッキズム」「デブいじり」「田舎見下し」と言われるだろうようなことばかり言ってる。「笑いは体にとてもいいの」「誰かと一緒に笑うとなおいい」「もし一人で笑ってたらたぶん精神を患ってる」。これでドッカンですよ??日本で同じギャグを精神疾患当事者がやっても非当事者がやっても大炎上では??
それに笑いとしても正直そんなに面白くもない。特に前半はおとなしい(スタンダップコメディは1時間なので前半ではジョークはおとなしめなのだと思われるが)「男と女の違いばっかりジェンダーノーマルは考えてる。男と女は違うんだ。男は火星(Mars)から来た!女は金玉星(Penus)から来た!」。このダジャレ(VenusとPenis)だけでドッカン。マジで客がゆるすぎちゃう?と。
彼岸と此岸で違うのはコメディアンではなく観客じゃないかと思った。
これ、毎回「欧米」(アメリカ、UK、オーストラリアその辺)のコンテンツ見ると思うんだけど、意外と見た目いじり(容姿褒めるのを含む)多いし、日本だと差別的だと言われるような話題で笑いとってたりするのですごい。どちらが差別的とかそういうことではなく、なんか向こうはそういうのを「相対的に」見ているというか差別するのが人間の自然な姿だとどこかで観客が受け入れてるおおらかさがある。その上で「差別されてる人が差別してる」のを笑う感じというか。ジョークだとわかってるから大丈夫!みたいな。この延長上にウィル・スミスの妻を侮蔑するジョークは簡単に想像できた。逆に日本は意外や意外、なんか絶対的なお上のような規範をそのまま杓子定規に適用するのが好きなのではないか。
お笑いのレベルも、これは単なる味付けの違いだと言われたらそうかもしれないが、日本が特にレベル低いとは思わないというか、むしろ日本のお笑いは質も量も少なくとも「劣る」ものでもなんでもないと思うし、そうやって日本のお笑いだけ貶めたりするほうが職業差別、なんなら被差別職種扱いにもなりかねないと思ってる。
ハンナ・ギャズビー、一番ウケてたネタの一つが「ショーが終わってから同性愛者からフィードバックをもらった。なんて言われたかって?レズビアンのネタが少ない!だって」「私ずっとショーの間中ステージにいたのに。途中でストレートになった瞬間なんかなかったけど?」→これで爆笑。むしろ「ポリコレ的な意識ばかりを生真面目に押し付ける人たち」を揶揄してるとすら言える。
作品としては本当に素晴らしかったです。スタンダップコメディが何なのか、ハンナの説明聞くとよくわかるけど、要するに緊張と笑いによる緩和。スダンタップコメディは二つからできてるとハンナ。Setting(設定)とオチ(PunchLine)。だからシリアスな話を延々とし緊張がクライマックスに達したところでカクン。これでドッカン!にしてる。
お笑いとしてこれがおもしろいか?というと、お笑いの味付けが全然違うという感じ。自分はこういうのもおもしろいと思うけど、前半は特に「こんなのでみんな笑うの????」って感じだったな。後半はハンナのシリアスな話や相互にネストした小難しい話が多く、スタンダップコメディというよりも大変良質なTEDトークを見ているような気持ちに。見てよかった。お笑い好きならみなさんもぜひ!