ノブリスオブリージュ
「二人でボトルを一本取るのはもったいないんじゃない、半分も飲めないのに」とすみれはあるときミュウに言ってみた。「いいのよ、それは」とミュウは笑って言った。「ワインというのはね、たくさん残せば残すほど、多くのお店の人たちが味見できるの。ソムリエ、ヘッドウェイターから、いちばん下の水を注ぐだけの人までね。そうやってみんなでワインの味を覚えていくわけ。だから上等なワインを注文して残していくのは、むだじゃないのよ」村上春樹. スプートニクの恋人 (Japanese Edition) (p.60). Kindle 版.