ニューロダイバーシティ
脳や神経,それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し,それらの違いを社会の中で活かしていこう」というような考え方を含む言葉ということになります。 ニューロダイバーシティの教科書 村中直人p.8
ニューロダイバーシティという言葉の確認できる限りの一番古い使用は, 1998年に自閉スペクトラム当事者の女性である Jane Meyerdingさんがインターネット上に発表したエッセーであったと言われています。このエッセーは現在もその内容がインターネット上にログとして残されていますので, 今でも読むことができます。 興味のある方はぜひご一読いただければと思います(残念ながら日本語訳されたものはまだ存在しないようです)。ニューロダイバーシティの教科書 村中直人p. 10
つまり自閉スペクトラム者には脳や神経の特性に由来する独自の文化が存在すると主張されているのです。 それは自閉症と呼ばれる現象を「何かが劣っている, 欠けている状態」ではなく, 独自の文化を持った文化的少数者であると位置づける発想の転換です。 ニューロダイバーシティの教科書 村中直人p. 14
こういった視点はいわゆる 「医学モデル」 と呼ばれる人間理解とは異なる視点です。 なぜここで医学モデルを取り上げてお話しするかというと、ニューロダイバーシティという考え方には医学モデルへのアンチテーゼとして生み出されたという文脈が少なからずあるからです。ニューロダイバーシティの教科書 村中直人p.48
1つは 「困難の原因が明確にできない」 領域, もう1つは 「そもそも治すべきものではないこと」が多く含まれる領域です。原因が解明できないことに対する 「治療」には限界がありますし, 治すということが基本文脈である医学は,治すという文脈に乗りにくい領域においてはできることが限られます。 治すべきものではないことというのは,「異常である」 「欠損や欠如である」と捉えるべきではない現象のことです。 先にお伝えしたセクシャルマイノリティの例を考えていただければご理解いただけるかと思います。 そして, 自閉スペクトラムやADHD, 学習障害などの発達障害とカテゴライズされる領域は, 多くの場合でこの2つの条件を満たすと私は考えています。ニューロダイバーシティの教科書 村中直人p. ・ 49