ドアを閉めて書け。ドアをあけて書きなおせ
「わかりました」──わかったというのは、ふたつの点に対してである。ひとつは、全体としてはよく書けている(少なくとも使いものにならなくはない)ということに対して。もうひとつは、余計な箇所が削られただけだということに対して。「次からは気をつけます」グールドは笑った。「それができれば、会社勤めをする必要はない。文章で食っていける。校正記号の説明をする必要はないな」「だいじょうぶです」「何かを書くときには、自分にストーリーを語って聞かせればいい。手直しをするときにいちばん大事なのは、余計な言葉をすべて削ることだ」このとき、グールドはほかにも含蓄のある言葉を口にした──ドアを閉めて書け。ドアをあけて書きなおせ。言いかえるなら、最初は自分ひとりのものだが、次の段階ではそうではなくなるということだ。原稿を書き、完成させたら、あとはそれを読んだり批判したりする者のものになる。書くことについて ~ON WRITING~ スティーヴン・キング (pp.57-58). Kindle 版. 初稿と第二稿でモードを変える。