オープンダイアローグ
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/21/092200035/100100004/zu1.jpg?__scale=w:900,h:914&_sh=0c309302c0
繰り返しますが、対話の目的は対話の継続です。ゴールとみなされやすい「治癒」とか「改善」などは、いずれもオマケ、副産物、スピンオフです。目指してないけれども、達成できればそれは結構なことだよね、みたいなものです。ひたすら改善を目指してショートカットして行こう、などという下心があると、対話が続かなくなりますので注意しましょう。やってみたくなるオープンダイアローグ 斎藤環 水谷緑p.91 最近よく名前聞くけれど意外と古い。効果はあると思う。ただ、概念の明確化や科学的なデータや再現性にまったく留意してないので「なぜ」「どんなメカニズムで」「どれくらいの効果が」あるのかよくわかりにくい。
おそらくだけど「する」ことよりも「しない」ことの効果が、特に精神医療の現場では大きいのではないか。「一人で会わない」「その人の話をその人のいないところでは話さない」というのは、要するにコミュニケーション上、暴力やハラスメントが行われる可能性をあらかじめ排除することになる。1対1だからハラスメントしやすいし、裏でその人の話をしてしまうと、その人についての情報をコントロールできてしまう。60分に区切っているのも「それ以上やると堂々めぐりになる」からだろう。そうやって「普段やってること」をやめただけで無駄なストレスや愚痴が減り、状況がよくなったってことが大きいのではないか。(それだけ精神医療が歪んでいるのではないか)
「対」話(dialogue)をするには1対1、つまり二人じゃダメで三人以上が好ましいというのもおもしろい。西洋的な文脈ではすぐ二項対立にしてしまいがちだが、二項対立にすると権力関係が発生するとも言われており、そうならないためにはそもそも「2にしない」って確かに理に適ってる。 効果
1980年代、フィンランド北部の西ラップランド地方にある精神科の病院 「ケロプダス」は、困難に直面した人たちと対話を始めた。 それはのちに「オープンダイアローグ」と名付けられ、今ではフィンランド中に、そして世界各地にその考え方が広がりつつある。 なんでも精神を病む人たちの8割が、回復しているという。感じるオープンダイアローグ 森川すいめい • 3ページ 精神を病む人たちの8割が回復ってすごいんだけど、それって一体具体的にはどういうこと?ってなる。
ケロプダス病院で始まったこの取り組みによって、それまで向精神薬による治療継続が必須と思われていた人たちや、 何十年も精神科病院の中で暮らさなければならないとされてきた人たちの8割以上が、 向精神薬をやめるか使用することなく、 精神病状がなくなり、仕事や学業から離れないですむまでに回復している。感じるオープンダイアローグ 森川すいめい 18ページ 「薬や入院が必要」とされてきた人たちが、薬を使わなくても精神状態がよくなって仕事や学校に行けてることを「回復」と呼ぶみたい。
8割が追試されたかどうかは不明。
過去に薬や入院に頼りすぎていただけかもしれない。いかに我々は対話をしないか、人を物のように扱っているかという反省にはなっても、オープンダイアローグそのものの効果とはこれだけでは言い切れないのでは。
回復はするけど、治るわけではない、ってことかな。
手法
これもあの手法、この手法、ここをアレンジして......これはどっちでもいいとか定義をコロコロと変えるからわかりにくいんだよな。
複数の第三者が、困難に直面した人たちの輪の中に入っていき、対話する。 対話の場を作ろうとするスタッフたちは、その場にいる全員に親身に寄り添いながら、中立の立場で、 ときには自分の考えを話す。 1回の対話の時間は60分で、 困り事があればすぐに対話の場が開かれ、必要なだけ対話を繰り返す。 対話は、 そこに集まった人たちで、60分の対話の場をどのように使っていくかを話し合うことから始まる。 そうできればいいのだけれど、どうやったらそれを実現できるのか?感じるオープンダイアローグ 森川すいめい • 5ページ 「その人のいないところで、その人のことを話さない」 と同時に決められた 「1対1で会わない」という決まりには、医療者と患者さんの上下関係をなくすということが、目的の一つとしてあった。 対話は、 対等な関係でなければ実現しない。と同時にそれは、医療者の間でも上下関係をなくす試みだった。感じるオープンダイアローグ 森川すいめい ・56ページ 1回の対話時間は60分
必要に応じて場は開かれる。何度でも開かれる。
1対1では会わない。複数人で会う。
その人のいないところでその人のことを話さない
目的
実践
ケロプダス病院では、最初の3回は、抗精神病薬(向精神薬の一つ)を処方しないと決めています。薬や診断名を考える前に、話をすることを優先させます。 最初の対話のときに、 医師が参加していないときもあります。方で、看護師さんたちは数個の睡眠薬(向精神薬の一つ)をポケットに持っていて、それを渡すことがあります。感じるオープンダイアローグ 森川すいめい • 146ページ 1回の対話の時間は60分。 関係者がたくさん集まるようなときは90分。 対話は連日開催できるようにする。相談があったら24時間以内に対話できるようにする。 スタッフは対話のトレーニングを続ける。対話の場は主に看護師たちが担う。 といった体制は、制約の中で、 ケロプダス病院流のオープンダイアローグを実現するための工夫です。感じるオープンダイアローグ 森川すいめい 134ページ ケロプダス病院では、 自分たちの実践を調査し、うまくいった事例を集めてなぜうまくいったのか、 その要因を抽出し、7つに分類していた。 それが、 以下に示す7つの原則で、 ケロプダス病院では、困難に直面した人たちと接するときの指針として、ずっと大切にされている。 / IMMEDIATE HELP SOCIAL NETWORK / PERSPECTIVE · / FLEXIBILITY AND MOBILITY / RESPONSIBILITY / PSYCHOLOGICAL CONTINUITY / TOLERANCE OF UNCERTAINTY DIALOGISM感じるオープンダイアローグ 森川すいめい 60ページ