複雑なアイデアを学ぶのが難しいのは、その構成要素がワーキングメモリーをオーバーフローしてしまうからである
ポイント
アイデアや思考は、今までの過去に学んだことと、連綿としてつながっている。
そのため、知識を複利的にストックしてきた人は、ますます、知識労働において、有利な状況になっていく。
全く新しい異分野の何かを学ぶ上でも、これまでの経験というものが関係してくる。
感じたこと
学べば学ぶほど、頭の中にコンテキストが広がっていき、難解な情報の理解が簡単になる。
専門用語ばかり使われた文章は、その分野の初心者にはきついが、熟練者であれば容易く対応できる。
エンジニアリングに精通したエンジニアが、生成AIをこれから新しく学ぶ場合も、背景知識が豊富なため、それほど難しいことではない。
C言語に精通したプログラマーが、Rustを習得するのが容易なように。
具体的なことから、抽象化して本質を掴む概念化(多から1を学ぶ)を普段からすることで、1を多に開くことができるのだ。
概要
アイデアは通常、他のアイデアの上に成り立っています。いくつかの洞察を直接組み合わせるものもあれば、特別な表記法や用語がなければ表現が難しいものもあります。アイデアが依存するものが少ない(要素の相互作用が低い)場合、それらすべてを紹介してから、すぐにそのアイデアを表現することができます。緑は進め、赤は止まれを意味し、右を指す緑または赤の信号機は、右折ができるかどうかを意味します。
これが、いくつかのトピックを理解するのがとても難しい理由の一部かもしれません。量子コンピューティングを学ぼうとしているなら、新しい表記法、新しい用語、新しい概念が必要です。あたかも、英語で始まる本を読んでいるようなものですが、スペイン語の単語や文がどんどん散りばめられているのに気づき、突然本全体がスペイン語になっていて、何も理解できなくなってしまったようなものです。筋書きを理解するためには、語彙と文法を吸収する必要があるでしょう。
比較的複雑な活動では、短期記憶が許容する以上の情報を頭に入れておく必要があります。
(エリクソンとプール、2016年、p.61)