完備性
定義
・測度空間/測度の完備性
測度空間$ (X,\mathfrak{B},\mu)について、$ \mu(B)=0なる集合$ B \in \mathfrak{B}の部分集合が全てσ加法族$ \mathfrak{B}に属する時、 測度空間$ (X,\mathfrak{B},\mu)は完備であるという。測度$ \muが完備であると言う時もある。
---> 零集合の部分集合が全てσ加法族に含まれてるような測度空間の事。 ・Th 8.1 : 測度空間の完備化(導入)
一般の測度空間$ (X,\mathfrak{B},\mu)について、 $ E \Delta B \subset N,\ \ \mu(N) = 0なる$ B,\ N \in \mathfrak{B}が存在する$ E \subset X全体の集合を$ \bar{\mathfrak{B}}とすると、
$ \bar{\mathfrak{B}}はσ加法族となる。 ※ $ {\mathfrak{B}} \subset \bar{\mathfrak{B}}
※ この$ \bar{\mathfrak{B}}は全ての$ B \in {\mathfrak{B}}と$ \mu(N)=0なる$ \forall N \in {\mathfrak{B}}の全ての部分集合を含む最小の$ \sigma加法族
※ 上記の$ E,B,Nに対して、$ B_1 = B \cup N,\ B_2 = B-Nを取ると、
$ B_1 - B_2 \subset N,\ \ B_2 \subset \begin{array}{cc} B \\ E \end{array}\subset B_1となるので、$ \mu(B_1) = \bar{\mu}(E) = \mu(B) = \mu(B_2)となり、
$ B_1 \Delta E = (B\cup N)\Delta E \subset (B \Delta E)\cup N \subset N
$ B_2 \Delta E = (B - N)\Delta E \subset (B\Delta E)\cup N \subset N
より、$ \forall Eに対して、$ B' \subset Eや$ E \subset B'なる$ B' \in \mathfrak{B}を取り直せる。
・Th 8.2 : 測度空間の完備化
Th 8.1の$ B,\ Eについて、$ \bar{\mu}(E) = \mu(B)として$ \bar{\mu}を定義すると、
$ (X, \bar{\mathfrak{B}}, \bar{\mu})は測度空間となる。
※ $ B \in {\mathfrak{B}}なら$ \mu(B) = \bar{\mu}(B)
※ $ Eに対して上記の$ B,Nとは別の$ B',N'が存在する場合にも、
$ B \Delta B' \subset N \cup N'より、$ \mu(B \Delta B') = 0となって$ \mu(B)= \mu(B')となる。ゆえに$ \mu(E)は一意に定まる。
(対称差の性質から、$ E \Delta B \subset Nより、$ E \Delta B \Delta E \Delta B' = B \Delta B' \subset N \cup N') ($ B\Delta B' = (B \cup B') - (B \cap B')より、
$ \mu(B \Delta B') =0なら$ \mu(B\cap B') = \mu(B) = \mu(B') = \mu(B \cup B')なので、$ \mu(B) = \mu(B'))
・Th 8.3 : 便利。Th8.1の最後の※の内容
$ (X,\mathfrak{B},\mu)の完備化を$ (X,\bar{\mathfrak{B}},\bar{\mu})とすると、$ \forall E \in \bar{\mathfrak{B}}に対して、
$ B_1 \subset E \subset B_2,\ \ \mu(B_2 - B_1) = 0,\ \ \mu(B_1) = \bar{\mu}(E) = \mu(B_2) なる$ B_1, B_2 \in \mathfrak{B}が存在する。
※ $ B_1 \Delta B_2 = B_2 - B_1に注意。
※ $ B_1または$ B_2=Eとしても良い。