レネゲイドウィルス
レネゲイドウィルスの特性
UGNの研究者によれば、人類の八割がレネゲイドウィルスの感染者であるという。しかし、その中で発症し、オーヴァードとなるのはごく一部に過ぎない。
発症
レネゲイドウィルスが活性化するメカニズムについては、いまだ不明な点が多い。現在確認されているレネゲイドのふるまいは以下のようなものだ。感染した対象がレネゲイドが適応しやすい特性を持っていた場合、レネゲイドは活性化して、対象のDNAを書き換え、細胞を変化させ、新たな器官を生み出す。これにより、対象はオーヴァードとして、人を超えた能力を持つことになる。だが最初の発症では母体に多大な負担がかかる。多くの場合、激痛と精神的ショックに耐えきれず、五割以上の者がジャーム化する。
侵蝕率
レネゲイドの振る舞いは様々であり、肉体的な変異がまったくない場合や、一時的に変異した後に元の体に戻る場合も少なくない。しかし、体内でレネゲイドが活性化している場合、周囲にレネゲイド物質と呼ばれる化学物質を放出する。これを計測したのが侵蝕率と呼ばれる数値であり、人間がジャーム化してしまう限界値を100%と規定している。
衝動と暴走
レネゲイドに侵蝕されたオーヴァードは、特定の感情や感覚、記憶が刺激され、異常に増大する。これを衝動と呼ぶ。個人差が大きく、あるオーヴァードは破壊願望が、またあるオーヴァードは特定の記憶に対する恐怖感が、衝動となる。
この衝動は、レネゲイドが活性化することで増大し、限界を超えると理性を失い、ただ衝動に突き動かされる状態―暴走となる。ジャームは、暴走状態から戻れなくなったオーヴァード、といってもいいだろう。
共振するレネゲイド
発症時に理性を失わなかったオーヴァードは、ある程度、自分の意志で衝動を抑制できる。それでも、特定の状況下周囲のレネゲイド濃度の増大や、感情の大きな動き、特定の記憶のフラッシュバックなどで、暴走する可能性がある。
特に、暴走状態にあるオーヴァード、もしくはジャームと接近すると、放出されたレネゲイド物質により体内のレネゲイドが活性化することがわかっている。これは直接に接触した場合だけでなく、その場に残されたレネゲイド物質、放出されたレネゲイドの干渉でも発生するため、ジャーム関連の事件を担当するエージェントは、常に衝動と侵蝕率の増大を危惧しつつ行動することになる。