高齢者高血圧
#高血圧
降圧目標は診療室血圧140/90mmHg未満,家庭血圧135/85mmHg未満が推奨
高齢者では動脈硬化によって血管の性質が変化している(文字通り硬くなっている).
このような場合,左室と動脈の整合から血圧の前負荷依存性が高まる
脱水や利尿薬の使用によって過度な降圧をきたしやすい.
下げすぎによって臓器障害が起こることがある。長いこと高圧だったのが下がって、だるくなったり認知症になったり、QOLが下がる人がいるよ(20250526五内植木先生)
加えて高齢者では食塩感受性高血圧(昼間に腎からのNa+の排泄が低下しており夜間高血圧をきたしやすい,夜間の高い血圧で糸球体濾過圧を上げてNa+を排泄する)を呈することが多く,夜間高血圧によって循環器系の合併症をきたしやすいとされている.
起立性低血圧や食後低血圧は高齢者に多くみられ失神の原因となり,これは加齢による自律神経系の機能低下も一因とされている.
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【治療】
サイアザイド系の利尿薬は第一選択
利尿薬の高血圧に対する予後改善効果,特に心不全発症予防効果が証明されている
2〜3剤の降圧薬を併用することがある.
ACE阻害薬とARBを,高齢者で腎硬化症が疑われる場合に併用すると,過度の降圧により腎機能が悪化することが大規模臨床試験の結果として知られており,一般的にこの組み合わせは推奨されない.
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合併症のない高血圧に対する降圧薬
➀Ca拮抗薬
②ACE阻害薬
③ARB
④利尿薬
※ARBは最も新しく、ACE阻害薬で頻繁に認められる空咳をきたさないため、処方頻度が増加している
①77歳,食後の全身倦怠感(→食事性低血圧の可能性)②クレアチニン0.9mg/dL,Na 140mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 105mEq/L(→腎不全ではない)③TSH 1.56μU/mL,FT3 2.3pg/mL,FT4 1.3ng/dL(→甲状腺機能低下症ではない)④脳の主幹動脈に有意狭窄や動脈瘤を認めない(→脳血管性認知症ではない)⑤下肢筋力低下(→ロコモティブシンドローム,サルコペニア,神経・筋疾患などの可能性)
バイタルサインや血液検査所見に異常を認めない,降圧薬内服中の高齢者の食後倦怠感であり,食事性低血圧を疑う.自律神経障害を伴う神経疾患を合併することもあるため,精査を要する場合もある.また本患者では,食欲低下,体重減少,下肢筋力低下もみられることから,ロコモティブシンドロームも疑われ,適切な運動療法と栄養療法が必要である.
○a 食後60分の血圧低下食事性低血圧を示唆する.健常人では食後の腸管への血流増加への代償として,交感神経により血圧が維持される.一方で高齢者や自律神経障害のある人では,血圧が低下しやすく,食後のめまい,立ちくらみなどを認める.神369×b 食後60分の血糖値上昇通常の反応であり,全身倦怠感をきたさない.×c 6分間歩行でのSpO2の低下呼吸器・循環器機能低下を示唆する.×d 吸気時の収縮期血圧10mmHg以上の低下奇脈のことである.食後の倦怠感とは関係ない.×e 仰臥位から起立した際の心拍数20/分以上の上昇起立性低血圧を示唆する.