胸膜中皮腫
pleural mesothelioma
アスベスト曝露から20〜40年経過してから壁側胸膜に発症する.
上皮型,肉腫型(不良),二相型があるが,上皮型が最も多く,予後は他の型より良好.
【だれ】
高齢者
傍職業性家庭内曝露(石綿に汚染された作業衣などを家庭に持ち帰り,それを洗濯した主婦や家族に中皮腫が発生)
【問診】
自覚症状は胸痛,咳,呼吸困難だが,無症状でも検診で胸水貯留として発見されることが増えている. 【身体所見】
呼吸不全(SpO2、呼吸音)
聴診:呼吸音減弱
打診:濁音
(陰性所見)
発熱なし,血圧正常,脈拍正常
【検査】
血小板増多,CRP高値から胸膜炎
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FDG-PET/CT
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胸腔鏡検査
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確定診断は胸膜生検を行う.十分量の組織を得るために胸腔鏡や開胸での実施も少なくない.組織診断
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胸水中のCEAは上昇しない.
免疫組織化学染色では,カルレチニンとWT1などのマーカーが陽性となる.↓
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石綿線維を中心に蛋白様物質が付着し,太鼓バチ状のアスベスト小体(*)である.Papanicolaou染色でオレンジ色に染まる.↓
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血性の滲出性胸水をきたし,胸水中ヒアルロン酸が高値となる. (陰性所見)
SCC 0.7ng/mL,ProGRP 23.8pg/mL(→小細胞肺癌,扁平上皮癌のマーカーは正常
【治療】
葉酸代謝拮抗薬のペメトレキセドがシスプラチンとの併用
予後不良