先天性副腎皮質過形成(21α-hydroxylase欠損症:塩喪失型)
先天性副腎皮質過形成は,先天性の副腎皮質ホルモン合成酵素異常により,ACTH高値とステロイドホルモン分泌異常をきたす病態である.
アルドステロン合成不全により,低Na血症,高K血症,循環不全をきたす.また,副腎不全症状として,頻回の嘔吐,脱水,ショックなどがみられることがある.
21-hydroxylase欠損症は副腎の21-水酸化酵素が欠損する常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)疾患であり,わが国では副腎酵素欠損症の約90%を占める.新生児マススクリーニングの対象疾患となっており,21-hydroxylase欠損症の場合,検査所見は17-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)高値となる.
https://scrapbox.io/files/681bcef54d979202d60e7045.jpg
【症状】
ACTH高値(コルチゾール欠乏
高K血症(アルドステロン欠乏により腎でのK排泄が抑制
低Na血症(アルドステロン欠乏により腎でのNa再吸収が低下
代謝性アシドーシス(アルドステロン欠乏により腎での電解質排泄が抑制
高Ca血症(副腎皮質機能低下症
【治療】
ステロイド補充療法
感染・外傷・手術時などのストレス下ではコルチゾールの需要は増大し,発熱時には通常の2〜3倍,意識消失時や開胸術時など最大で通常の約30倍のコルチゾール補充が必要となる.
慢性副腎不全に対してコルチゾール補充中の症例に対しては,内服を中断しないこと,ストレス時に急性副腎不全をきたす危険があること,発熱時には通常量の2〜3倍のコルチゾール補充が必要となることを説明する.またクリーゼに備えホルモン補充が必要な旨を記載したカードを携帯してもらうなどの対応が必要である.