刻のジレンマ
ZERO ESCAPE 3部作と銘打ったADVの最終作。
参加者9人のうち6人が死ぬまで終わらないデスゲーム、どうやって生き残る?はたして真相とは!? 選択肢による分岐を埋めて真相に近づいていくADVなのはシリーズの前2作と変わらないのだが、「分岐を埋めて」という嫌な言い方をすれば作業的な行為を作業で終わらせない、死を伴う強烈な暴力がひどい思い出作りとして全編に満ちる。 乱数による分岐がプレイヤーキャラのおかれた理不尽な状況を彩る。 デスゲーム開始前のコイントス。表か裏かを当てたらデスゲームは行わずそのまま全員解放!(燃える!お兄さんとタメをはるオープニングでエンディング) 公式サイトのトップ絵にもなっているロシアンルーレット。撃たなければ焼却炉に閉じ込められたメンバーが焼け死ぬ。撃った弾が実弾なら椅子に縛られているメンバーが頭をふっとばして死ぬ。誰も死なないのは運よく空包を撃ったときだけ!
サイコロ3個をエイヤで投げて、全部1ならセーフ、さもなくばガトリング砲で蜂の巣。
メンバーの死、あるいは全滅を避けるための「選択を迫られる」シーンにおいて上記のように攻略法が存在しないことがある(だってマジで乱数なので)。ゲームシステムとしてプレイヤーは既知のフローチャートを自由に行き来して望む結果が出るまでサイコロを投げられるのだが、たとえばピンゾロが出ないとそのたび生身の人間たちがガトリング砲で繰り返し死ぬ。
あるいは乱数の絡まない選択においても「どいつを殺すか投票」など、誰を/殺す/殺さないの分岐を見届けるたび、理不尽にメンバーが死ぬ、ではなくプレイヤーが殺すことになる。
前2作でがんばって生還させたキャラも多くいるのに、あっさり死ぬ、あるいは殺すことになる。
フローチャートを制覇すればクリアできる!なADVにおいてプレイヤーの選択に「時に正解がない(だってマジで乱数なので)」「惨事を踏みしめる」という重みを持たせ、単なる分岐の選択を「覚悟して決断する」にもっていった。
全編フルボイス(字幕あり)仕様がメッセージの早送りを許さない(ある程度のまとまりのシーケンススキップになる)。9人の断末魔を何度も見る/聞くのだ!