音ゲー(短歌)
1 息継ぎが灯す夜空の旋律と迷う指先青暗い部屋
2 好きでしたそれが言えれば悔やまない集団下校離れた僕ら
3 青空に光る真珠に照らされた水底の僕永い一瞬
4 とりどりの花咲く浜辺凪いだ風夕日が沈む誰も知らずに
5 下り坂宙に浮かんだ君の眼は僕が見つけた一等星だ
6 濡れ落ち葉盛りを過ぎて冷めた夜雨の匂いはまだ消えてない
7 カラカラと舞う風車枯葉色吹きすさぶ風さむしい心
8 夕暮れと日々の暮らしが漂った急いで帰るカレーの匂い
9 ふと君を思い出しては信号機青に変われば君を忘れる
10 御手洗いドアをまたげば異世界へ水に流れた胸のざわつき
11 ころころと散歩していた石ころと一期一会に躍るあの頃
12 くり抜いた夜の太陽一人きり止まった世界浮かぶ望月
13 なんという名前の空におりますか?風があなたの香りを運ぶ
14 星々が輝いていた横顔に煌めいている宝石がいる
15 わかったよ僕らの負けだもういいやこれで終わりだ君の世界は
16 意気地なし賑わう灯りかき分けて誘えずにいたあなたを探す
17 何気ない君のお土産捨てられず机の上に展示している
18 もう終わり。乾いていくの涙さえ降り積む言葉埋もれる私
19 似合わない人の気持ちも知らないで君は笑ったはじめてのチュウ
20 追い越して赤信号で追いつかれよろよろじいさんうさぎとかめだ
21 台所電気ケトルが沸いた音3分よりも長い気がする
22 言いかけて泡になった言葉たち涙の海に届かぬ光
23 退屈と戯れていた遠い空浮かんだ雲と弧を描く鳥
24 口ずさむあなたの歌がいつまでも風の行方を知らせてくれる
25 ありがとう結局いつも包み紙贈る言葉がまとまらなくて
26 それでいいなにものにすらなれずともあなたはいるよあなただけだよ
27 君よりも。行き交う人を眺めてはレトロゲームの村人Aだ
28 意味がない会ってしまえば私達言葉はすべて浴槽の中
29 私達線香花火落ちぬよう寄り添いあって二人で待つの
30 こんにちは1+1は?尻尾振りワンと応えるお馬鹿なあなた
31 弱い風夏の名残にしがみつく風鈴の音は鈴虫に消え
32 寝る前に君に手紙を書こうかと短歌を詠んで目覚ましかける
33 何もかも無駄じゃなかった砂の城今はないけど心に残る
34 いつだって心は踊るどこだって君がいるなら変わらないから
35 覚えてる?驚くあなたソーダ水猫を飼おうと海辺の家で
36 二人きりワルツを踊る公園でくるくる回る僕らを軸に
37 眩しくて閉め切った部屋一人きり体育座り心臓の音
38 うとうととよだれ垂らした枕元小さな窓が明かりを灯す
39 鱗雲空を泳いだ滝登り黄昏時に龍はいたんだ
40 神様に取り上げられたもうおわり雲ひとつない空は寂しい
41 大嫌い何も知らない酔っ払い自分に溺れ消えてしまえよ
42 思い込み君の世界に飲み込まれ白いカンバス塗りつぶしてく
43 秋風があなたの肩をかすむときあなたは誰を思うのですか?
44 花束が油に浸るお年頃火傷したのは君のせいだよ
45 死にたいと灰色の雲浮かんでる涙にうたれ冷めた心臓
46 電源をお切りください消えたいよエンドロールも流れぬうちに
47 苛立ちがはねて滲んだ傷口に描いていたの止まない雨を
48 知らぬ間に消え去っていた蝉の声溶けたアイスと線香花火
49 きつね色夕日が沈むきらめきに熱を奪った君の口づけ
50 切り取ったあなたがくれた風景と名前も知らぬ空を重ねて