縛り解禁(短歌)
定型破ってもいい頃合い
2023/03/31
1変わらずに例え世界が滅んでもこの日はずっと記念日だから
2解けてた靴ひもみたいな約束にしゃがんでぼくら進めないまま
3真っ白なパーカーを着て外へ出たいラーメンとかも気にせず食べたい
4解けたら結び直してまた一歩そんな生活であれたらいい
5シャボン玉きっと宇宙に届くから幾度も胸を膨らませてる
6心臓の感覚だけで過ごしたいまぶたに触れる朝で起きたい
7正解に意味はないのだ 証明だその在り方と祈りの先だ
8ごろごろと目覚ましが鳴く 春の朝 布団の上で身悶えている
9日と共に延びゆく影を眺めては薄桃色は風にさらわれ
10空っぽで埋め尽くしては腕を切る上書きしてる生きる苦痛を
11昼下がり日差しが覗くキッチンで笑ってたのは君とカーテン
12「なあAI、僕には愛がわからない」「愛についての検索結果は..」
13「わたしでは答えることができません」「それなら僕らおんなじかもな」
14問い掛けに機械仕掛けの脳内が微かに熱を持ち始めてる
15おぼつかぬ文字の羅列と点滅が呼吸みたいでため息をつく
16内臓の入れ物でしかないくせにこの空洞を埋めたがるのだ
17自意識はマンボウなのに頑丈な身体との差にショック死してる
18指先を紙で切ったら出血死そんな脆さで生きてるつもり
19からっぽな頭はいつもヘリウムで膨らませてる空へ行きがち
20寂しさが染み付く部屋でくゆらせて弔いだよと空を見つめる
21葉桜はギンガムチェックチョコミントさわやか色の夏の風向き
22本当は本当なんて知らないよわかっているのはこのことだけだよ
23感性を着せられている君たちじゃ人形なんだよそれで満足?
24君の目に触れないように生きている後ろめたいよ赦されるのが
25道端で拾った鍵で開く場所を探し続ける不審人物
26折り紙の端がそろわずやり直し歪んだ鶴は羽根が折れてる
27つづきから君のデータをロードしてトゥルーエンドを模索してみた
28きまぐれに笑うあなたは春のよう起き抜けだけは離してくれない
29漠然なわたしはきみと物差しで確かめるたび劣等感
30すり減らし自分を偽るくらいなら飛び降り自殺で生還したい
31今君が翳った、だから喚く僕どうして君は言葉にしない
32押し黙り貴族のふりをしているの?言わないじゃなく言えないくせに
33さざなみを汀に立って受けているいつかのまれる予行演習
34笑い声水飲み場から噴き出したオレンジ色の小さな噴水
35退屈を繰り返してるわかってるだから毎日早送りする
36補給するおんなじ味のガソリンをこんなことなら車になりたい
37二日酔い波打ち際で倒れてた君のタトゥーは教典のよう
38めんどくさい。理由なんてこれだけだ他の言葉はただの演出
39あぶらぐむ夕日に焼けて影になるカラスになって灰になりたい
40ゆるやかにくだり続ける人生でいつかは君と心中したい
4110:00から1分遅刻、けど許す。綺麗だったから10:01
42青、緑、空、あぜ道に吹きぬける、湿気、躍動、生命の予感
43もういっか、勝手きままなステップで、バックパックもかなぐりすてて
44晴れ模様天気予報は雨だけど隣の君は太陽みたい
45屈折した一直線の僕だけ 教科書みたいな君を焼くのは
46愛という怪しげな熱に怯えては心をいつも毛布に包んで
47この腕の枝の先から花よ咲け少女がいつも安らげるよう
48寂しさを患う夜更け 青すぎた月の光は孤独を照らす
49さらわれた密かな思いは夜の風 ひそひそ揺れる草むらの音
50心臓が凍えて縮む春の朝 新鮮すぎた夜明けにおびえ