今日の短歌アーカイヴ02
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一行日記の感覚で気軽にしるしてみてください。
自作のものでお願いします。
2020/12/1
人間にへばりついてる英単語見ながら啜るフラペチーノ /島崎みとん
ほほえみが地面につよく打ちつけた小さいスーパーボールみたいだ /久住哲
水色をよく使うわたくしの部屋には悲しみなどないのですけど/で電、電で電
「了解」のスタンプ押して見つめる庫内照れてるとろ〜りチーズグラタン / 雨水うい
2020/12/2
肝心の名前が思い出せないが何はともあれ君が好きだよ/むらさきらでん
「ありがとう」見知らぬ他者のひとことがああ、それだけが生きがいなんだ/くま子
四本線必要とする人も入もぼくらはじまりからこうだった / 雨水うい
とても優しい人だからポケットの中には粉々のラング・ド・シャ / 嘔吐彗星
カンジョウガナイガウタッテイイデ
スカハイワカリマシタウタイマセン /久住哲
2020/12/3
まっしろい部屋に静寂訪れる 電気こたつに足乗せたまま/むらさきらでん
気紛れに家の屋根から街を見た。ざざざざぶーん波が生じる/くま子
馴染むなら何でもいいです好き嫌いありませんのでそれでいいです / 雨水うい
同僚が怒鳴られている我が強さ我が賢しさの代償として /久住哲
おやすみを言えないきみとわらべうた ぼくはわらった前歯わらった /島崎みとん
「ほっとくとぼうぼう生えてしまうから」“いいね” 摘み取る霊園の朝 / 嘔吐彗星
2020/12/4
「人生は安定奪取のgameです」彼は知らないクリア後の果て/くま子
拭いたい液体固体の苦い水甘いとこぼす薄い唇 / 雨水うい
お日様の作る四角に収まってフローリングに溶けるぼくたち/むらさきらでん
いつまでも親指のままでいたならばLikeyを知ることはなかった /久住哲
2020/12/5
いつだって誰かがいると言ったのに 後ろを見ずに僕は消される/むらさきらでん
白い腕指定ジャージのサントリーニ陽より眩い八重歯と頬と / 雨水うい
黒の僕、白の君とが溶け合って跡形もなくそして生まれる/くま子
えいえんを上書き保存してしまう ちゃんと♡をつけたのだけど /久住哲
泡みればバタ足をするマーメイド 歌えないのと今日も過呼吸 /島崎みとん
2020/12/6
からからの下唇にふたをしてマフラー延ばす寂しいお茶会 / 雨水うい
大袈裟なmotionは要らない落とすだけ……これだったのか重りがとれて/くま子
はじまりはまっすぐだった赤とんぼ一昨日ひしゃげ今日はぺしゃんこ /久住哲
何者か我慢して生きてきて 今度は何かを我慢して生きる/むらさきらでん
2020/12/7
ばあちゃんのにおいがのこるお風呂場をかあちゃんのためにしっかり磨く /久住哲
手を広げ地獄がにたにたついてくる逃げ惑う者逃げ場などなく/くま子
今更言うな勝手に卒業しておいて早く生まれたお前が悪い / 雨水うい
2020/12/8
「独り歩め」釈迦はいえども我気づく孤独じゃなかった釈迦が真理と/くま子
団欒と街の光の横で見る空は何よりただどすぐろい/むらさきらでん
根雪かな この「かな」は詠嘆ではなくため息の「かな」と心得るべし /久住哲
2020/12/9
不自然に明るい毛束気にしつつ文庫の虫を細めて読む目 / 雨水うい
赤緑電灯光が眩しくてカラーコーンをかぶるかぶる/島崎みとん
本棚に300×数十の観念事実見果てぬ何か/むらさきらでん
テキパキの代償として〈半固体レンガ〉のような身体の重さ /久住哲
2020/12/10
新聞紙のように反対になってもそっとおやすみ公営団地 / 雨水うい
アカウントネーム「そうじきじいさん」に子はScrapbox教う /久住哲
花枯れる 綺麗に色はついたまま だってこれからはじまりだから/むらさきらでん
騙し合い互いの舟をさぐりあう敵って誰だ しずめろいかりを / スズキ皐月
2020/12/11
私綺麗?「美しいです」そうですか それならいいの それならいいよ。/むらさきらでん
モーニングルーティン洗礼盤のふち鏡の悪夢ひそひそ明ける / 雨水うい
小道傍少し騒めく 夏祭り10メートルの明るい笑顔/くま子
右左後ろも前も知らぬうち後援会費天引きさるる /久住哲
2020/12/12
橋の穂に遠くの糸を待つ夜明け潮の声で息もできない / 雨水うい
粕漬けの赤魚たまご箸つけて私が私でそっと片付け/むらさきらでん
停止する精神がまた突っ走りやきなおしする拘束バス内/島崎みとん
めぐりあいひらかれる目の円かさのしみじみ思う男なるよさ /久住哲
2020/12/13
もの増えた 抱えるものがちょい増えた これまでがむしろ少なすぎた/むらさきらでん
次々と心の錠は揺れてゆく言葉が鍵を差し込むごとに /久住哲
気がつくと我が身に流る江と瀬と等 自分の顔が一番見ない /島崎みとん
2020/12/14
ドアノブに拉せらるるや細腕の弱弱しさでもって戸を開け、 /久住哲
お香だめ アロマもだめです この家は 私の跡は残してはだめ/むらさきらでん
2020/12/15
まち針はこんなに拾いやすいのに ボタン、チケット、それから手紙 /久住哲
青天水晶の小雨 柔和な霜焼け 鋭利な涙 日の星/むらさきらでん
2020/12/16
故郷のキキョウを思う 柔らかな緑のハートにも小雪降る/むらさきらでん
暗闇のなにがそんなにこわいのと嘯(うそぶ)くひとの眼にも暗闇 /久住哲
2020/12/17
暗い空から白牡丹降ったなら君と雪遊びができるのに/むらさきらでん
昨夜から汗を吸いたるくたくたのパーカー袖を揉んだ手ざわり /久住哲
寒空に燻らす煙草がゆらゆらと切なくなってまた口にして/くま子
2020/12/18
いつだって死んで良いよう支度してテトラポットに登れず帰る / 雨水うい
小雪って意外と自由に舞うんだね 上とか横とか君の手とか/むらさきらでん
部屋の中微かに響く四分音符もう聴こえない音が沁み入る/くま子
2020/12/19
文字数が感動を表している。この文字数がわたしに向けて /久住哲
色つきのドライフラワー枯れてきた そしたら次も枯れるのですか/むらさきらでん
「もう何処にも偽の物など無いのです、凡てが瑠璃で玻璃なのですから。」 / 雨水うい
2020/12/20
コーヒーが苦かったから妹のぶんのチョコレートも平らげた /久住哲
交う黒目慣れぬ出囃子背に降りてサンパチマイクの柄に添う右手 / 雨水うい
2020/12/21
友に名を呼ばれるための面会をお断りさせていただかれました /久住哲
2020/12/22
僕がいくら奇を衒っても届かない領域があると説き奇を衒う/柳田満
沈めても浮かんでこないおもいもの それはほんとに大事な気持ち/むらさきらでん
歌が吾が同居のものとなりしのち 日々は短歌の乗り物なりき /久住哲
2020/12/23
歌でぐらい幻想を描けと言われ 天邪鬼は詠む貴方の言葉を/柳田満
2020/12/24
鍵ねじり金庫を開ける事務員へ 一般名詞「女」の瞳 /久住哲
2020/12/25
一歩ぐらい踏み出すこともできないがそれでもいいよ ここにいるなら/むらさきらでん
2020/12/26
何よりも首に優しい手触りをマフラー巻く時には感じる/むらさきらでん
2020/12/27
新型のインフルエンザと言う祖母をそっとしておくコロナ禍の冬 /久住哲
暖かい陽の光につられるよう世間に出たがそこそこ寒い/むらさきらでん
2020/12/28
晴れの日は無くしてしまう降車駅 ホームの溝が越えられなくて /島崎みとん
知りもしないお前の過去を なぜ僕が配慮してやらなきゃいけないの/むらさきらでん
2020/12/29
2020/12/30
暖房の限られた家出ていけば雪のどれほど温かいこと/むらさきらでん
2020/12/31
さよならが君を殺してしまうこと 解るともっと言いたくなっちゃう/むらさきらでん