ヴァールブルク研究所
美術史家アビ・ヴァールブルクの蔵書をもとに設立された研究機関。ヴァールブルク存命中の1921年に新設のハンブルク大学に図書館として併設され、フリッツ・ザクスルが初代館長を務めた。しかしナチスの迫害を逃れ33年にロンドンに移転、44年にはロンドン大学の管轄下に置かれた。そのため、現在では英語の発音に倣い「ウォーバーグ研究所」という呼称が一般的となっている。同研究所は、とりわけルネサンス期の文化研究に力点を置いており、過去に在籍した主な研究者にエルンスト・カッシーラー、エルヴィン・パノフスキー、エルンスト・ゴンブリッチ、フランセス・イエイツ詩人のイエイツじゃないよらがいる。彼らはしばしば「ヴァールブルク学派」と呼ばれ、ルネサンス研究およびヴァールブルクを実質上の祖とするイコノロジー研究に多大な貢献をもたらしたことで知られている。現在でも、その充実した研究紀要やフェローシップ制度が示すとおり、国際的な研究機関としてのウォーバーグ研究所の重要性は誰もが認めるところである。しかし近年、ロンドン大学の財政改革により、ウォーバーグ図書館が学内の他の図書館と併合される可能性がしばしば囁かれている。そのため、ヴァールブルグの蔵書を元にした同館の独特な配架方式が今後も維持されるかどうかについては、予断を許さない状況が続いている。