『陽気な黙示録―オーストリア文化研究』
中央大学人文科学研究所編
中央大学出版部
陽気な黙示録
https://www.amazon.co.jp/dp/4805753064
19世紀末、内外の危機を抱えたオーストリア、首都ウィーンは頽廃と爛熟、耽美と楽天を併せもった文化が花開いていた。19世紀後半から現代までのオーストリア文化の、特に19世紀末期ウィーン文化を中心に、その根底に新たな光を照射し、その特質を探る。
ウィーン・グループのこととか書いてある。
内容
第一部 オーストリアの心
文化複合としての昔話
飯豊道男
オペラ座のネストロイ
新井裕
第二部 世紀末の揺らぎ
ユーゲントシュティールの音楽――マーラーの場合
喜多尾道冬
世紀転換期ウィーン都市文学の盛衰
高橋慎也
エロスの遍歴――『輪舞』をめぐって
田尻三千夫
シュニッツラーの『ベルンハルディ教授』――性格喜劇としての観点から
小泉佐栄
第三部 夢の変容
ホフマンスタールと表現主義
松本道介
シュニッツラーと戦争――日記と作品『誘惑への喜劇』『池への道』をめぐって
棗田光行
「私」のいない光景――ホフマンスタール『むずかしい男』小論
佐藤俊一郎
ホフマンスタールとリルケ――文学的世界の比較の試み
戸口日出夫
夢の地形――ホフマンスタール、シュニッツラー、ムシルの作品から
赤司英一郎
第四部 迫りくる暗闇
ムージル〈可能性感覚〉の誕生――帝制末期のカカーニエンにおける不随意性と随意性について
早坂七緒
ウィーンのヘルマン・ブロッホ
入野田真右(眞右)
ヨーゼフ・ロートの『ラデツキー行進曲』――そのハプスブルク像をめぐって
小林正幸
第五部 伝統への懐疑
もうひとつのオーストリア文学――アウスレンダーのチェルノヴィッツ
北彰
パフォーマンスと懐疑――ウィーン・グループにおける〈伝統〉と〈革新〉について
前田良三
〈犬のように〉――トーマス・ベルンハルトの小説作法の一断面
初見基
「第九の国」の夢――ペーター・ハントケとスロベニア
平山令二