『陽気な黙示録―オーストリア文化研究』
19世紀末、内外の危機を抱えたオーストリア、首都ウィーンは頽廃と爛熟、耽美と楽天を併せもった文化が花開いていた。19世紀後半から現代までのオーストリア文化の、特に19世紀末期ウィーン文化を中心に、その根底に新たな光を照射し、その特質を探る。 内容
第一部 オーストリアの心
文化複合としての昔話
第二部 世紀末の揺らぎ
世紀転換期ウィーン都市文学の盛衰
エロスの遍歴――『輪舞』をめぐって
第三部 夢の変容
シュニッツラーと戦争――日記と作品『誘惑への喜劇』『池への道』をめぐって
「私」のいない光景――ホフマンスタール『むずかしい男』小論
ホフマンスタールとリルケ――文学的世界の比較の試み 夢の地形――ホフマンスタール、シュニッツラー、ムシルの作品から
第四部 迫りくる暗闇
ムージル〈可能性感覚〉の誕生――帝制末期のカカーニエンにおける不随意性と随意性について 第五部 伝統への懐疑