📖『庭の話』宇野常寛 (講談社)
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『庭の話』宇野常寛 (講談社)
#2025-10-10
Cosenseに時々お邪魔していた方々が一時期読んでいたので読みたいリストに入れていたのだった。audibleで読んでいるので少し飛ばし読みみたいにはなってしまうかもしれない。…などと考えながら読んだけど最初からぐっとつかまれてさっそくメモしたい箇所がいくつもある。
ちょうど音楽家の友人が、フェスには行くけれど個別のコンサートに行かない人が昔よりも増えているという話をしていた。フェスはある程度人気のあるグループがすでに専門家によって選別されているから、気に入るアーティストが見つかる可能性も高い。忙しい中時間を割くのならなるべく費用対効果が高いほうが良い。多くの人と感想を共有できるという楽しみもある。SNSにも投稿しがいがあるかも。いっぽう個々のアーティストのコンサートとなると、せっかく足を運んでも当然ながらそのグループしか見られないし、あまり好きじゃなかった、良くなかったとなる可能性もあり(これはフェスにしたって同じことではあるんだけど)その選択の責任の所在は自分にしかない。もし良かったなと思ってもその喜びを共有する人数や範囲は限定されるかもしれない。
SNS上で新しく生み出されるものはもうほとんどなくて、同じような文章・定型がリツイートなどで繰り返し人の目に晒されることでいいねが増え、いいねが増えればまた人の目に晒される機会が増える、自分がそれに何かを付け加えただけで世界に参加した気分にもなってしまうという現象は、このフェスにしかいかない問題にもそのまま反映しているなという気がする。AIが、もうすでにあるものを学習してちょっとだけ組み合わせを変えて新しく見えるものごとを作り出すことに既に多くの人が満足してしまっていることも、そこに繋がってくるかもしれない。
読み始めたらまさにそういうことが導入になっているので、このさきを読むのも楽しみ。
出てこないのかと思ったけれどジル・クレマンの『動いている庭」の話が登場した。
私自身はソローやワーズワースみたいな自然観も好きだけれど、もうそこはすでにいったん人間が関わってしまっている、自分がそれを語る以上人間という存在をなかったことにして話すわけにはいかないという理論はまあそりゃそうだ、それが地に足のついたものの考え方よねというふうに思っている。それに、実際の自分の庭に対する姿勢とも通じる部分があるので(私はジル・クレマンよりもっと自然に任せるタイプだが ※ただの手抜き)彼の庭を見に行くのは好きだ。家のすぐ近くに彼の監修した庭があるし、ケ・ブランリー美術館も大好きな場所。
#2025-10-14
『庭の話』読了。
坂口安吾が好きなのだが、そこにからめてされていた話は面白かったけれど「庭」という概念とうまく結びつかないままだったので、そしてそのまま最終章のほうも少し自分のなかでボタンがかけちがえられたような印象のまま終えてしまったので、いつかまた読みたい気もしている。
#読了