📖『イスラーム精肉店』ソン・ホンギュ/橋本智保訳(新泉社)
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p49
僕は傷と傷が出会うなんていう甘ったるいメロドラマは好きじゃない。
p99
「坊主、あんまり憎んでやるな。いまこの世に生きている人間のうち、百年後にも息をしている者などひとりもいない。俺たちはみんな、この美しい天地と愛する人を置いて、ここを去らねばならない存在だ。」
p173
「俺たちが他人を鏡にする理由は、自分の中にある矛盾に気づく力がないからだ。他人の矛盾した行動を見て、自分はどうだろうと省みるしかない。そうでなければみんな、自らを未知の領域に置き去りにしたまま生きていくことになるだろう。」
雑多に散りばめられた場面を集めていたらいつのまにか鼻の奥がつーんとしてきた。
近くにいるのに触れ合わなかったり、まったく違う方向を向いているのにかたく結びついていたり、文句を言いながらもそこを家だと思っていたり、受け入れられないひとなのに一心に何かを食べている姿を見ていると憎めなくて涙が出てきたり、そんなことを考えていた。
ちょうど友人といろんな話をしたあとだったので、その友人の心の状況と寄せながら読んだりもした。
いい作品だった。他の本も読んでみたいな。