公式ガイドブックをあらためて読んだ後,あらためてバレットジャーナルについて考えてみた〜なるほど納得!〜バレットジャーナル
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AmazonHP バレットジャーナル 人生を変えるノート術
著者 ライダー・キャロル (著) 栗木さつき (翻訳)
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AmazonHP 「箇条書き手帳」でうまくいくはじめてのバレットジャーナル
著者 Marie
出版社 ディスカヴァー・トゥエンティワン
出版月日 2017/10/13
BOOX Nova Airを手にして,デジタルの手書きが気になり,その流れで,知的生産,そして,バレットジャーナルに目が移っていったわたし。
【参照】
「BOOX Nova Air」はiPadと比べるのではなく,紙の発展系として見ると心地よさが見えてくる〜「書く」に焦点を当てて
「手書き」でメモるなら……バレットジャーナルなんてどうよ?でもなあ……うーん
生産向上,情報管理,思考整理,アイデア創出,ライフログにNotionってどうなの?……わたしにはScrapboxがあるんだけど……どうしようか悩む
勝手に想像するのではなく,ちゃんと書籍を読んでみなくちゃね,ということで読んでみました。
しかも,2冊!!
1冊は公式ガイドブック。そしてもう1冊は「バレットジャーナル」と名前がついた日本語の本の中で人気が最も上位に来るものです。
バレットジャーナルの本からわかったバレットジャーナル
まずは,根本思想はわたしの望みに近いものがあることがわかりました。
公式ガイドブックではバレットジャーナルを次のように説明します。
山ほどの失敗を重ねては、ほんのときたまうまくいくという試行錯誤を繰り返し、成果があがった方法を少しずつ組み合わせていった。そのすべてを、僕は昔ながらの紙のノートのなかでおこなった。スケジュール帳、日記、備忘録、ToDoリスト、スケッチブックの機能を、1冊のノートにまとめたのだ。
加えて,丁寧に,具体的に次のように言いいます。
バレットジャーナルを始めれば、スケジュール管理やタスク管理などが簡単にできるようになり、生産性や効率をあげることができます。でも、バレットジャーナルにできることはそれだけではありません。ノートを前に腰を下ろし、頭のなかを整理し、静かに自分を見つめることで、過去を振り返り、現在を整理して、未来を計画できるようになるのです。人生で成し遂げたいことを考え、意志力をもって日々をすごせるようになり、「自分の人生をコントロールしているのは自分自身だ」と自信をもてるようにもなります。だからこそ「バレットジャーナルのおかげで人生が変わった」「日々を前向きにすごせるようになった」という感謝の声が寄せられているのでしょう。 ですから本書は、単なる「ノート術の本」ではありません。著者の哲学的思考もちりばめられていて、一種の自己啓発書にもなっています。「ノート術×自己啓発=人生を変えるノート術」といったところでしょうか。
公式ガイドブックでは,バレットジャーナルのノウハウ(書き方,進め方,続け方)以上に,上のように1冊のノートに自分の過去,現在,未来の一切を簡潔なルールに基づいて記録していくことのよさを説いています。
それは,「時間を使う」ではなく「時間に使われてしまっている」私達に対して,自分の人生を豊かに,有効に,意味あるものにするための基本基地としてバレットジャーナルを活用してみたらいかがですか?とバレットジャーナルの考案者である「ライダー・キャロル」さんが提案しているように読めます。
バレットジャーナルの具体的な方法の説明としては,1冊のノートに自分に関するすべての情報をシンプルなルールに従って蓄積していくことと理解しました。一般的な手帳,そして印刷されたスケジュール帳のイメージとしては,スケジュール管理とタスク管理が中心であとは少しのメモスペースという感じになるでしょうか。そうじゃないんです。「あれもこれも」を1冊のノートに蓄積していきます。
「箇条書き手帳」でうまくいくはじめてのバレットジャーナルでは,次のように説明します。
山ほどある「やらなければならないこと」の中に、なんとか「やりたいこと」を組み込みたい─。
そのために,フォーマットやテンプレートが最初から組み込まれていて,書くスペースが限られていたり,書き方が限定されていたりするスケジュール帳や手帳を使うことをバレットジャーナルは勧めません。一般のノート(大学ノートのような横罫線が入ったノートや,ドット入り,またはそれさえもじゃまになると感じるときは白紙のノート)がよいのです。
例えば,バレットジャーナルを続ける上で(多くの人が)最も長く,多く,活用するであろうデイリーログがあります。それを「箇条書き手帳」でうまくいくはじめてのバレットジャーナルでは,次のように説明します。
デイリーログは、書く内容も限定しません。 1冊のノートに、記録しておきたいすべてを放り込めます。 たとえば、その日にあったこと、感じたこと、買い物や読書のメモに旅行の記録など、まさになんでもありです。 時系列で記録していく形なので、後でほしい情報を探すときに該当箇所を見つけやすいというメリットもあります。
で,この記録がゴチャゴチャにならないように(雑多にならないように),でも,素早く記録できるように,工夫されたバレットジャーナルの少ないルールの一つが「ラピッドロギング」です。
公式ガイドブックでは以下のように言います。
「ラピッドロギング記法」とは、頭に思い浮かんだことを箇条書きで短く書き留める方法だ。
例えば,何かを記す時,トピックには以下の3つの機能があると公式ガイドブックでは言います。
1 内容がなにかを明示し、説明する。
2 あなたの目的がどこにあるのかを明確にする機会となる。
3 検討すべき点を定める。
これを時系列に書いていくとして,まざりあったのでは,整理整頓ができませんよね。そこで,一定のルールを決めた「ラピッドロギング」を行います。公式ガイドブックでは以下のように説明しています。
ラピッドロギングは、この問題をごくわずかな手順で解決する。まず、箇条書きの内容を分類しよう。
1 しなければならないこと(タスク)
2 経験すること、経験したこと(イベント)
3 忘れたくない情報(メモ)
「タスク」「イベント」「メモ」ごとに箇条書きの最初にどんな記号をつけておくか,一定のルールを決めておくのです。
公式ガイドブックでは,公式ガイドブックならではの「記号」があって紹介しています。また,YouTubeその他を見ると,各バレットジャーナル実践者は自分がやりやすい,気持ちよくなる,記号を考案して使っているようです。公式ガイドブックも自分がやりたいように,やりやすいように変形して構わないと言っています。
わたしは,今のところ,ほぼ,公式ガイドブック通りの「記号」を使っています。以下です。
タスク→「・」
終了したら「✕」に
終了せずに翌日に持ち越し→「>」をつけて,翌日のデイリーログページにタスクを書き入れる。
終了しなかったが,翌日ではなくもっと先→「<」をつけて,このタスクが該当するマンスリーページにタスクを書き入れておく
このタスクは行う必要がなくなった→「タスクを横線で消す」
イベント→「◯」
メモ→「ー」
例えば,以下はある日のわたしのデイリーログ。実物は,もっともっと具体的な名称で具体的な事例を書き残しています。下の「✕」はもともとは「・」だったものが,1日を過ごしていく中で,「・」から「✕」へ変わっていったものです。
202◯/0◯/XX
✕ ◯◯◯◯論成績
✕ ◯◯◯◯の確認
✕ ◯◯◯◯成績
✕ ◯◯◯◯へ学会誌郵送→切手代580円(500gを超えていたため)
・ カビホワイト
◯◯さんが買ってきてくれたものできれいになったのでいらない。
✕ ◯◯プロジェクトの心がまえと準備をslackで学生に伝える
✕  ◯◯◯学会ゆうちょ口座確認
◯ 14:40 授業「◯◯◯論」
学生の振り返りにコメント
◯ 16:30 ◯◯会議
ー ◯◯先生からメール
2022年度の◯◯セミナーの打診
ー ◯◯コース,◯◯先生から◯◯会費を預かる。
昼 ポトフ,なすとピーマンの味噌炒め,280円
夜 大地のぶた(たんしゃぶと黒牛食食べ放題コース)
一般に,バレットジャーナルはデイリーログとリンクする形で,四大コレクションというページの考え方があります。公式ガイドブックでは次のように言います。
バレットジャーナルの四大コレクション(インデックス、フューチャーログ、マンスリーログ、デイリーログ)があれば、たいていは十分に機能する。
アナログのノートを使っていくデメリットの一つが検索性でしょう。特に,バレットジャーナルはなんでもかんでも1冊のノートに記録していくという考え方なので,よけいに検索がうまくできるかどうかが使っていっく時の「肝」と言えます。その問題を解決するのが「インデックス」です。ノートの最初の部分にインデックスページとして数ページ確保しておきます。バレットジャーナルはノートにページ数を書き込むようになっています。そこで,ノートの中に「旅行記録」とか「◯◯コレクションのページ」とか「◯◯アイデアメモ」のようなスペースに使ったら,インデックスページに「旅行記録 p◯〜◯」「◯◯コレクション p◯〜◯」のように書き出しておくのです。
フューチャーログは,言わば,「やりたいこと」や「目標」「ずっとさきの予定」のようなものを書き込んでおくところです。見た目は,スケジュール帳の年間一覧表のようになります。もちろん,そこには「スケジュール」として「やらなければならないこと」も書かれるのですが,ここには「夢のあるフューチャー」という意味を込めて,少しワクワクするようなこと,長期的に視線を向けて書き込んでおくことが想定されているように感じます。
上の四大コレクションの他に,カスタムコレクションページをつくっていくこともよしとされています。これは,自分だけのこだわりページです。ただし,こんな注意ポイントを公式ガイドブックでは書いています。
どんなコレクションをつくろうとべつに悪くはないけれど、その情報から建設的な行動を起こせるものだけにしよう。たとえば若手映画監督は、これまでに見た映画のタイトルをコレクションにして、今後の方向性を決めたいと思うかもしれない。コメディ映画を勉強するんじゃなく、スリラー映画に的を絞るほうがいいだろうかと、検討するためだ。
とか
コレクションの情報から学ぶべきことがないのなら、そのコレクションにはなんの価値もない。すると自然に、そのコレクションを継続しようとする気持ちも失せる。あなたの人生になんの価値も加えないコレクションに、無駄な時間を費やしてはならない。
である。
上の表記から感じるだろうが,何度も繰り返しているように,公式ガイドブックはバレットジャーナルのノウハウ本ではなくて,自分の人生を豊かに生きるためのヒント,目標を叶えるために大切なこと等をも書いてくれている。例えば,「トヨタのカイゼンを用いた考え方」「日本のワビ,サビの意味と意義」「5回のなぜを使った自分の深層を探る方法」などはずいぶんとわたしの今後にも参考となる考え方を教えてもらいました。
今後,バレットジャーナルを行うのか?
で,わたしはバレットジャーナルを今後,行うのか否か?ということです。
デジタル人間であるわたしは考えます。
うーん,仕組みはとてもよく考えられていてなるほどと思ったけれど,やはりアナログなので「検索性」と「リンク付」が弱いなぁと。情報を蓄積していく上で,この2つがないのは活用するとしても使えない感じがしてしまいます。
ところで,バレットジャーナルを考案したライダー・キャロルさんのお仕事は,デジタルプロダクトデザイナーです。どう考えても,わたしなんかよりもデジタルに関して造詣が深いです。そんな中,紙のノートを活用するバレットジャーナルを生み出しました。なぜ,デジタルではなくてアナログ(紙)なのか。それも,公式ガイドブックではところどころ説明しています。
バレットジャーナルを手に腰を下ろせば、このうえなく貴重で贅沢な時間を入手できる。 自分だけの空間が生まれ、気を散らす心配をせずに、自分自身をより深く知ることができる。 これが、本物のノートを利用する理由のひとつだ。強制的に外部との接触を遮断できるのだ。
とか
手で文字を書くと、その情報との関わり方が強化され、連想する思考力が高まることが、科学的にも証明されている。 新たなつながりを見つけられるようになるからこそ、型にはまらない解決策が浮かんだり、深い内省を得られたりするのだ。また意識を拡張すると同時に、理解を深めることもできる。
とか。
デジタルデトックス,デジタル断ちの必要性やその効果を伝えようとしていると思います。
例えば,バレットジャーナルには,独特の「移行作業」というものがあります。
いわば,デジタルで自動化できないがために,いちいち,ある部分や項目を「書き写す」という作業ですね。
デジタルに盲目になっている人はこの部分を不便だったり,不要だったり,ぜったいにデジタルで自動化すべきところと思うのでしょうが,バレットジャーナルに価値を見出している人にとってはこここそが「価値ある作業」になるのだと思います。
「箇条書き手帳」でうまくいくはじめてのバレットジャーナルでは,次のように説明します。
バレットジャーナルのキモは、移行作業をしながら、「これは本当に必要か?」と考えること!
手書きでのスケジュール・タスク管理は、デジタルツールに比べると、内容の移行に手間と時間がかかります。 デジタルであれば指先でドラッグするだけで、予定やタスクを簡単に次の日に移動できますが、手書きではそうはいきません。書き直す手間がかかるし、過去の記録は完全に消えることはなく、元の場所に痕跡も残ります。
ある意味、この「書き直す手間」が、バレットジャーナルのデメリットといえるかもしれません。 しかし視点を変えてみると、この移行作業の存在が「タスクを書き直したくないから、今日中に完了させてしまおう」という推進力にもなり得ると同時に、時間の使い方について考えるよい機会にもなると、私は考えています。
どういうことかというと、未完了のタスクを次の日のページに持ち越すとき、一度立ち止まって、「 このタスクは、自分にとって本当に必要なことか?」を考えるのです。
わたしはどちらかというと,アナログならではの「書き写すこと」を嫌がり,自動化に価値を見出そうとしていた人間でした。今まででしたら,そんなもんかなぁ……で終わっていたと思います。
しかし,デジタルという手法ではありますが,BOOX Nova Airで手書きメモを少しずつ蓄積している人間としては,「手書きだからこその思考」のよさというものがあるように思ってきています。
だから,バレットジャーナルを今後,行うのか否かと聞いてるだろ?
と言われそうですが(笑)。
微妙です。
上の言っていることって,半分納得,半分疑問……という感じなのです。
つまり,「手書きだからこその思考のよさ」ってたぶん,あると思うのですけど,すべてを手書き(アナログ)にする必要はあるか?ということです。
基本はデジタルだからこその自動化を推し進めて,アナログ(手書き)で行うべきこその「これは本当に必要か?と考えること」や「書き直す手間」を必要なところで,必要な時間に行えばよいのではないかと考えます。
そんなこんなで,思考の旅はつづく〜(笑)。