ひらめきの作り方
数年前、ベンチャー企業に努めていて、中国展開に向けてバリバリ働いている友達から相談を受けた。
「問いはある。でも答えが定まらない」
という相談である。IoTを使った家造りの会社で、どうすれば生活の質を上げられるのかという大きな問いとそこから派生する具体的な問いをたくさん聞いた。会社でも問を共有し、たくさん議論しているのだが、なかなか答えが定まらないと。これを聞いた僕は、イケるかもしれない・・・と思った。
アドバイスは一つ。「今相手にしている対象を徹底的に理解しよう」である。置かれている状況、うまく行かない点を徹底的に抜き出し、構造化する。まさにQNKS思考。ノートを出してもらい、徹底的に情報の抜き出しからスタートした。箇条書きとウェビングを併用しながら、隅々まで抜き出していく。(N+K)ぐちゃぐちゃになってきたら今の内容をきれいに書き直す(S)更にそこに情報を付け加えていく(N+K)これを繰り返し、現状を一つの図に落とし込んでいく(s)この過程の中で、相談してきた彼は、「あ!!!!!!」とひらめいた。これがこうなって…!とどんどん図に書き込んでいき、うおおおおおおと興奮し始めた。
イケた…「わからないものは分けるとわかる」のである。それは何についても同じ。言語で思考する以上、僕たちの思考は「要素と構造を操作する行為」だと言える。この「要素と構造」の性質は、補完関係にある。 #QNKSは一方通行? 「要素」を抜き出していると自然と構造化してくる。これはまぁわかりやすいだろう。動物をたくさん列挙していけば、哺乳類、爬虫類…とか熱帯にいる、寒帯にいる…とか様々な構造化ができる。要素が構造をよぶのだ。
逆も言える。構造が要素うむ。要素を構造化していくと「抜け」が目に入りやすくなるのである。ここがこうつながって…と考えていくと、「ん?じゃあ、これは何とつながるのだ?」という問いを生む。これが新たな要素を引き出す問いになる。構造は要素を呼ぶのである。だから、要素を呼び込みやすいように逐語的に構築した図は新たに整理して、きれいに書き直す必要があるのだ。(S→Q→N)
こうして大きな問いの方向性に基づいて対象を徹底的に分解しながら再構築する過程(QNKSQNKSQNKS…)で「答え」が見つかる。
○なぜ対象を理解するためのQNKSが「答え」を見つけるのに役立つの?
(めっちゃややこしい事書きます・・・・)
「対象を理解するため」に要素を抜き出し構造化していく過程で一つ一つの「要素」に対する理解が深まる。
①抽象化と具体化を繰り返す中で、その要素の性質に敏感になる
②構造化と書き直しを繰り返す中で、他の要素との関係性がわかる
今は「現状」の構造化を目指しながら「書いて」思考しているわけだが、脳内では「現状をどうすべきか」という問いが常に並走している。「要素」は「構造」を呼ぶ。要素への理解が深まれば新たな構造を「ひらめく」可能性が高まる。「現状の構造化」を目指すのは「現状に含まれる要素に対する理解の解像度を深め、脳内に在る問いに基づく構造化を促進するため」なのである。「ひらめき」とは問いと答えを結ぶ論理が明確に見える現象のことを言うのだと思っている。「要素」への理解が深まれば、その組み替え方も広がる。
「現状を理解するために構造化を目指す中で、要素への理解を深めていき、本当の問いとぼんやりとした多くの答えのどれかの間に明確な論理の道筋が見えるのを誘う。」
これが僕なりの閃きの作り方。
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