WP_Ch4_小論文における主題の擁護
■Chapter 4 Defending a Thesis in an Argumentative Essay
〔主題を擁護すること。〕会話、編集者への手紙、またはオンラインの討論で、君は問題に立場を取り、なぜ自分の見解が正しいかの理由を述べたことがあるか? もしあるなら、君は主題を擁護(ようご) defended a thesis していたのだ。君は主張や結論を受け入れる理由を示し、特定の主題に対する主張を述べた。もし書面で君の論証を詳細に説明するなら、それはもっと価値のあるものになる──それが主題を擁護する(あるいは論証的な)小論文 a thesis defense (or arugmentative) essay である。
〔理由の提示によって読者を説得する〕主題を擁護する小論文では、君の見解が受け入れられるに値すると読者に示そうとする。それを支持する理由を提供することで、読者に君の見解の妥当性を示そうとする。
この種の小論文は、主張の分析や他の誰かが述べた論点の要約、他の人々が信じたり言ったことの繰り返しではない──主題を擁護する良き小論文はこれらの要素のいくつかを含んでいるかもしれないが。主題を擁護する小論文は、君が信じていることと、君がそれを信じる理由の実演でなければならない。〔だから〕他の人が考えることは、最終的には関係ない。〔……〕。
多くの学生にとって、この種の執筆は未知の領域である。この領域では自分で考え、主張とその背後にある理由を理解することによってのみ進むことができる。〔……〕。この方法で行われる仕事の多くは(特に学術の領域では)、成功か失敗かは自分の主張を書面できちんと表現するか、君の前に来る主張を評価する能力にかかっている。
基本的な小論文の構造 BASIC ESSAY STRUCTURE
通常、主題擁護小論文には以下の要素が含まれるが、必ずしもこの順序である必要はない:
I. 導入 Introduction(または序論・まえがき opening)
A. 主題文 Thesis statement(支持される主張)
B. 論文内容の筋書き Plan for the paper
C. 主題の背景 Background for the thesis
II. 主題を支持する論証
III. 異論反論に対する評価 Assessment of objections
IV. 結論 Conclusion
導入 Introduction
〔導入の長さ。〕導入は通常、論文の最初のパラグラフで構成され、時には1〜2文であることもある。時折、それはもっと長い場合もあり、たとえば数パラグラフになることもある。長さは、論証を紹介するためにどれだけの内容をカバーする必要があるかに依存する。どれだけの長さでも、導入は必要以上に長くなってはならない。ほとんどの場合、最良の導入は簡潔である。
〔導入の要素。〕もし導入が何を含まなければならないかの原則があるなら、それは次の通りである:導入は主題文を提示すべきだ。主題文は通常、最初のパラグラフに現れる。これは、君が小論文でサポートまたは証明しようとする主張であり、提示しようとしている論証の結論である。主題文を、君が提起する質問への答えとして、または君が議論したい問題の解決策として提示するといいかもしれない。どのように提示されても、主題文は理由で支持する必要のある主張である。それは読者にとって君の文章のコンパスのようなもので、パラグラフからパラグラフ、前提から前提へと導き、導入から結論への明確な経路を示すものだ。また、君がコースを逸れないようにも役立つ。それは君に、すべての文やパラグラフを君の一つの支配的なアイディアに関連付けるように思い出させる〔からだ〕。
〔主題文は明示すべきだ。〕一部の論証的な小論文、例えば新聞の社説や雑誌記事では、主題文は明示されずに暗示されていることがある。〔一方、〕哲学の執筆においては、主題はいつも明示的で、注意深く練られた文で明確に主張されるべきである。おそらく、大学で書くあらゆる論証的な小論文で、主題文を含めることが期待されるだろう。
〔補強可能な範囲の主張をする。〕君の主題文は、許容されるスペース内で支持できる主張に制限されるべきである。それを1文で述べ、なるべく早く行うべきだ(適切に制約された主題文を考案する方法については後で詳しく説明する)。その意味や含意が不明確であると思う場合は、その意味や含意を説明したり詳細を加える必要があるかもしれない。
導入の他の2つの部分──論文内容の筋書き(B)および主題の背景情報(C)──は、君の主題と意図によっては必要であるかどうかが異なる。
(B)比較的形式的な小論文では、主題を述べるだけでなく、それをどのように論じるかも明らかにする必要がある。君の全体の論証──各前提と結論──を要約するか、論証が長いまたは複雑な場合は、少なくとも最も重要な論点を要約する必要がある。
(C)主題の背景情報を提供することは、君の主題が何を意味しているか(用語の定義や概念の明確化を含む)、その含意は何か、なぜその問題が重要で迫っているか、またはなぜそれに取り組むことを決定したのかを説明することである。必要な背景情報が導入の後に多くなるほど、それを提供する必要がある。いずれにせよ、適切な背景情報を加えることで、君の読者に君の言っていることを気にかけ、読み続ける理由を与える。多くの哲学の論文では、背景情報には他の哲学者の見解の要約やスケッチが含まれる──彼らが問題や君の主題に関連することを言っている内容である。この種の素材を提供することは、読者がなぜ君のトピックを探求する価値があり、なぜ君の論証が関連性があるかを理解するのに役立つ。
主題を支持する論証 Argument Supporting the Thesis
君の論文の導入と結論の間には、小論文の本体がある。本体の基本的な構成要素は、
(1) 君の論証の前提と、それをサポートまたは説明する材料、および
(2) 君の主題に対する異論反論の評価である。
各前提は明確に述べられ、注意深く説明され、例や統計、専門家の意見、論証、または他の理由や証拠によって適切に裏付けられなければならない。各前提につき1つのパラグラフを割り当てることで、十分に小論文を展開できるかもしれないし、あるいは各前提に対して複数のパラグラフを使用する必要があるかもしれない。
どの方法を取るにせよ、パラグラフの発展の中心的な原則に従わなければならない:各パラグラフで1つの主要な論点を展開し、その論点をトピックセンテンスに具現化させる。次に、各パラグラフが君の主題文に関連していることを確認せよ。
〔他人の論証は正確に批評せよ〕もしも君の小論文が他の誰かの論証の批評ならば、本文ではそれを検証し、それがどのように機能するかを説明し、著者がそれに対する主要な批判にどのように応じているかを示すことだ。君の論証の意義を理解するために、著者の主張についての説明は正確で完全でなければならない。著者の立場が提示された後、君は自分の批評を持ち込むことができる。各前提を主張し、説明せよ。
もちろん一部の前提は非常に明白で、補強は不要かもしれない。決定的な要因は、君の読者がそれらに疑問を抱く可能性があるかどうかである。もし読者が前提をそのまま受け入れる可能性があるなら、補強は不要だ。もし受け入れられない可能性があるなら、前提を補強する必要がある。一般的な誤りは、前提がみんなに受け入れられると仮定することだが、実際には議論の余地がある場合だ(Rule 3-8)。
いずれにせよ、最も強力な前提のみを提示すべきである。〔なぜならば〕1つの弱い前提は全体の論証を台無しにする可能性がある〔からだ〕。〔即ち〕読者にとって、頼りない前提1つが他のすべてに疑念を抱く理由になる。〔……〕。
良い論証では、結論は前提から論理的に導かれ、かつ前提は真実であることを思い出そう。君の小論文の本体での仕事は、そのような論証を提示し、それを明確に行うことだ──〔すなわち〕読者に対して、君の前提が適切に君の結論と関連しており、かつ真実であることを明示することである。君が何を証明しようとしているか、そしてそれをどのように証明しようとしているかについては、疑いの余地を残してはいけない。もっと長い論文では、論証を複数使用して主題を裏付けることができる。複数の論証と主題との関係を明確にする限り、これは進むための受け入れられる方法になる。
ふかくさ「ここで述べられていることは、小論文のあらゆる要素は主題とどのような関係にあるか、秩序立てて明示されなければならないということである。主題との関係があやふやな文を残してはいけない」
各異論反論に対する評価 Assessment of Objections
〔再反論によって小論文は強くなる。〕小論文にはしばしば、異論反論の評価が含まれる。これは、あなたの小論文の論点について読者が持ちそうな異論や疑念を真摯に考慮する試みである(ただし、第1章の文化相対主義の小論文のように、評価すべき重要な異論がない場合もある)。君は読者に対して、異論に根拠がないこと、君の論証がありふれた批判に致命的に弱くないことを示さなければならない。一部の人が考えるのと逆に、小論文で異論に効果的に対処すると、小論文を弱めるのではなく、強化するのだ。〔すなわち〕君は公正かつ徹底的な試みを通じてそれに信頼性を与える。疑念を読者の心から取り除くことで、君の立場を強化するのである。〔一方、〕もしもらうべき異論に立ち向かわない場合、読者は君が異論を知らないか、またはそれに十分な返答がないと結論するかもしれない。〔異論を検討する〕追加の利点としては、異論に対処することで、君の論文を強化する方法が見えてくるかもしれない。
〔再反論できない場合は縮小か方向転換を。〕一方で、異論に十分な回答がないことがわかることもある。ではどうすればよいだろうか? その場合、批判を克服するために論証や主題を変更する方法を探すことだ。主題を広範囲でないものにしたり、確率を下げることで主題を弱めることができる。/あるいは、より強力なものに代わるために、全く異なる主題を受け入れる必要があるかもしれない。愛着のある主題が穴だらけであることがわかることは、必ずしも後退ではない。君は、どの船が浮き、どの船が沈むかを見極めることで理解を深めることができる。
〔八百長はバレる。〕すべての可能な異論を考慮する必要はない。最も強力な異論だけを考慮すれば十分だ。読書や研究で出会った異論、他の人から聞いた異論、または自分で考え出した異論を使用することができる。ただし、弱くて容易に崩れることを知っている疑似異論を選択しないこと。慎重な読者(あなたの指導教官も含まれる!)はこのゲームを見抜き、あなたの論文を低く評価するだろう。
論文内で異論を提起する場所は異なることがある。〔例えば〕各前提を提示する際に異論に対処することを選択することもできる。一方で、小論文の冒頭や前提を守った後に、小論文の終わりに近づけたり、前提を擁護した後に異論に対処することもある。
結論 Conclusion
君の小論文が非常に短くない限り、結論が必要だ。結論は通常、最後のパラグラフに現れる。多くの結論は単に主題文を繰り返し、それがどれほど重要かを強調する。他のものは行動を促す呼びかけをしたり、問題について説得力のある視点を示したり、主題文のさらなる影響について論じたりする。一部の結論には、小論文の議論の要約が含まれる。要約は、論点が複雑で長いか、または形式的な場合には常に良いアイデアだ。
サンプル小論文を分析する。
1. トピックを選び、特定のイシューにまで狭めよ Select a Topic and Narrow It to a Specific Issue
2. そのイシューについて調査せよ Research the Issue
3. 主題文を書け Write a Thesis Statement
4. 小論文全体のアウトラインを作れ Create an Outline of the Whole Essay
5. 下書き第1稿を執筆せよ Write a First Draft
6. 君の第1稿を検討し、改訂せよ Study and Revise Your First Draft
7. 最終稿を作成せよ Produce a Final Draft
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註釈付きサンプル論文 An Annotated Sample Paper
(割愛。道徳における神の命令理論に関する小論文全文とそれに対するコメント例)
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