第265回例会「恋愛と排他性規範」
発表者は谷口一平さん(哲学道場上席研究員、独立研究者)でした。 【発表概要】社会規範としての恋愛における排他性の意味を掘り下げることにより、後期資本主義社会における恋愛が必然的に陥る隘路について考察するとともに、恋愛を〈半分〉降りることの可能性を示し、および来たるべき22世紀の恋愛はいかなる姿になるべきかを社会提言として呈示する。
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ふかくさ.icon ふかくさ「交際相手に排他性(=代替不能性+肉体的独占)を求めることを現代日本の恋愛規範の中心と位置づけ、その規範から〝半分〟降りる(=形骸化させる)ことによって、もっと柔軟な関係を構築しようという発表だと受け取った。しかし、そのようなものをロマンティックなものと受け取ることはできても、そもそもその前提である個人主義やさらにそれに先立つ〝家父長制〟が現代日本では緩いので、形骸化させることすら困難ではないかとも思う。我々現代日本人はもっとヌルッとした現実を実際に生きているのだから、概念的に論じたり対立軸自体を立てることが或る意味で既に不要ではないのか? つまり、事を荒立てるだけではないかという疑念がある」
Syun'iti Honda.icon Honda「本来は愛し合う者どうしの自由な結合であるはずの恋愛が、性的関係は特定の一人とのみ持つべきであるという排他性規範にもとづく結婚制度によって逆に規定されてしまっており、さらにこの排他性規範が資本主義下で私的所有と結びつくことによって交際相手の商品化をもたらし、ひいては「恋愛市場」における過当競争が人々を疎外しているという問題が提起されていました。この現状を踏まえ、人数を限定せず、契約関係ではなく、そして性(欲)的側面とは異なる恋愛感情に注目した「ロマンティック・フレンド」を次世紀の新しい恋愛規範として提案する、という内容でした。参加者から多数の鋭い指摘があったので、X のスペース録音 の聴取がおすすめです。」 【4月5日(土)西新宿】哲学道場例会「恋愛と排他性規範」【第265回】 - TwiPla