開蔵
開蔵とは、伏蔵的な対象たちの中から、ポイエーシスすることで不伏蔵的な対象が生じることである 伏蔵性とはこの世界においてある存在が明確化しておらず、隠されたり閉ざされているという性質
不伏蔵性はこの世界においてある存在が明確に現れている状態をさす性質
ポイエーシスは原因から結果という存在を生じさせる写像
ここでいう原因とはアリストテレスによる四原因説を想定している 銀の皿を作る場合の例をこちらに書いてるので参照してほしい
ハイデッガーはこういう古代の哲学者からの引用→再解釈→自分の文献で使用という例が多い
avashe.iconだからわかりづらいし説明もしづらい、とはいえ無限に再発明するのもだるいのはわかる
ポイエーシスは手仕事の製作や芸術、詩作だけでもなく、人間の主観を離れ独立した存在(すなわち自然)から何かしらの存在が勝手に立ち現れてくることも含まれる
植物の果実とか
つまり伏蔵性は認識の問題ではないことに注意
元のドイツ語において隠れている状態を解除する、蔵されているものを開くという意味があり、それを日本語訳したもの
これはハイデッガーの真理観にも繋がる概念である
ハイデッガーの世界観ではデカルト的「客観」を否定しているため、真理とは「客観的な・普遍的に正しいもの」などではない
ハイデッガーは真理の語源である古代ギリシャ語のアレーテイアを「隠れなさ」と分析し、開蔵の概念と結び付けた
不伏蔵性こそが真理である
不伏蔵性に属している諸存在がなんであるか、どのように意味付けられているかはこの場合重要ではない
ちなみに、この世界観では意味はあったりなかったりする
ある場合、社会的規範というコンテキストの上で付加されるものであるが、これは不安定で偶発的なものである
根源的事象である実存的「不安」にさらされると、すべての規範は投げ出され、存在は本来無意味であり特になにものでもないものとして現れる。不安の経験は現存在本来の有限性を露呈する。
例
技術とは開蔵の一例である
そもそも開蔵とは技術への問いで、技術の本質を因果論、存在論的なものとして説明するために登場した概念
解明するという意味での熟知することは開蔵の一例である
理解が深まることで対象の伏蔵的だった性質が明確化され、不伏蔵的な性質になるから
例えば、山を鉱床として用立てるのは開蔵の一例(技術)である
avashe.iconこう見ると、全ての対象について伏蔵性と不伏蔵性が同居している