動物の権利運動
動物の権利運動
1980年以降、英米を中心としてanimal rights movement(動物の権利運動)というものが、盛んに行われるようになった これが出現するまでの歴史的経緯
18世紀以前
宗教的な教義として以下のようなものがあったが、影響はあくまで限定的
世界のあらゆるものは人間のために、神によって作られたものなので、人間は人間以外を好きに使ってよい
あらゆる生き物の生命は輪廻転生を通じて繋がっているので生命を大事にしましょう
動物を大事にする義務を人間は持つ
モンテーニュ「残酷さについて」
動物を残酷に扱うのはそれ自体が悪い
その後、詩人やヒューマニストは動物への残酷行為を批判する文章をはっぴょうするようになる
しかしまだ社会的な運動へはつながらなかった
18世紀末から19世紀
動物も苦痛を感じることができる
動物の感じる苦痛も功利主義の計算の中に入れ、道徳的配慮をしなければならない
この考えの賛同者は増え、1822年には世界初の動物愛護法「マーチン法」がイギリスで成立 この法律を受けて動物愛護協会も設立される
この協会は今も老舗の動物愛護団体として活動し、世界へ大きな影響力を持っている
抜け道も多く、批判も多かった
イギリスでの運動の影響を受けた西洋諸国の動き
非常に先進的なものだった
ユダヤ人虐殺と動物愛護法がどのように両立したのかを語る「ナチスと動物」という本もある
ヘンリーソルト「動物の権利」
19世紀における動物愛護運動の理論的到達点
動物にも人権と同じような権利があることを主張
20世紀
一旦動物愛護運動が形を潜める
ワクチンといった動物実験による恩恵が顕著になったから
1950~60年にかけて動物実験を行う科学者側から、動物福利の動きがあった
動物実験する人たちから科学者側から起きたのはなかなか知られていない
1970年後半
現代の畜産工場や動物実験の残酷さを描写
性差別や人種差別とおなじように用いられる言葉であり、種による差別が無根拠に行われていることを暗示する 言葉自体は動物愛護活動家リチャード・ライダーが考え出したもの
シンガー自身は功利主義をベースに考え、動物の権利という言葉は使っていない 1973年「動物の愛護および管理に関する法律」
その後二度に渡って改正
他の国の動物愛護法と比べると簡略的
欧米では家畜・実験動物の飼い方、輸送法、殺し方について規定している国が多い
日本ではその部分は概略だけしか法律に定めておらず、各学会のガイドラインや指針に任せている