兩河世界を形成する材料に成った物達を振り返る。(2)
※今は捨てられた古い設定
其れは、機械知性に支配されかけた經驗から、兩河世界の人々が思考機械を禁忌とした事に由來する。 思考機械を排除した爲、人々は高度な計算を人力で遂行する必要に迫られた。
此れ等の考察の結果、先述のモチーフを元にして「ガルデア人」と云ふ人々が想定された。 想定された當初のガルデア人は、ナノテクノロジーによって極めて高度な暗算能力を持ち、神經系の働きから直接信號を取り出すセンサーケーブルを裝著する爲の特殊な器官が體のあちこちに付いてゐる姿で描かれた。 彼らは其の高度な知力の割に穩和な民族であり、地球人やユーラル (yUraru) 人によって計算奴隷、宇宙船の生體計算機として使役されてゐると云ふ姿もまた同時に想像された。 人類の一種が宇宙船の部品扱ひをされてゐる、と云ふ姿は、森岡浩之の星界シリーズに於るアーヴの始祖達が材料に成ってゐる。 二大文明によって蹂躙される彼らをしかし虐げずには銀河文明を維持出來ないと云ふ構造から何某かの物語が生まれて來る事を期待してゐた。
しかし此の方向性は直ぐに行き詰まって了った。
若し他の多くの人類よりも賢い人類がゐたら、彼らが默って部品の儘でゐる事があるだらうか。
寧ろ彼らが他の人類を全て支配して了ふのではなからうか。
其處で、上記の古い設定に變る新しい理路が想定された。
其れは、他の人類を支配したガルデア人が、他の人類による技術開發に制約を課した事に由來する。 此れでは地球人やユーラル人の文明に活躍の餘地が無く成って了ふ。故に、 ガルデア人は一時全人類を支配したが、他の人類を直接支配する事を彼らの勝手な都合で已めて了った。 此の理路は、其の後の考察によって兩河世界内に想定された樣々な場面の斷片達と良く整合した爲、現在も槪ね採用されてゐる理路である。 續きは、またこんど!