独学の足場を作るために
凡人である我々は、ウサギとカメの寓話を思い出して、「もしも自分がウサギ(天才)なら、今苦しんでいる課題をさっさと片付けて、今頃昼寝でもしているのに」とため息をつく。
しかし実際は、課題をさっさと片付けた天才は、すぐに別の課題に取り掛かるか、同じ課題にもう一度取り組んでいる。
栓ずるところ学問は、ただ年月を長く倦ず怠らずして、はげみつとむるぞ肝要にて、学びようは、いかやうにてもよかるべく、さのみかかはるまじきこと也。
いかほどに学びかたよくても、怠りてつとめざれば、功はなし。
(ようするに、学問は、ただ年月長く倦まず怠らず、励みつとめることが肝要なのだ。学び方はどのようであってもよく、さほどこだわることはない。どんなに学び方がよくても、怠けてしまってはその成果はおぼつかない。)
本居宣長著/白石良夫訳注『うひ山ぶみ』(講談社学術文庫、2009)、53-54頁
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