アインシュタインによる全体性の考え方
アインシュタインがプリンストン上級研究所の所員だったころ、彼のアドバイスを求めて、個人的な問題を相談する手紙が世界中から寄せられました。彼の偉業を理解していた人はほとんどいませんでしたが、それが革命的な偉業であるということは世界中の人たちに知られていたのです。次に引用するのは、清らかで美しい16歳の妹を失った19歳の娘をどうやって慰めたらいいのかと相談してきた、ある父親の手紙に対するアインシュタインの返事です。
人間は、私たちが”宇宙”と呼んでいるものの全体の一部です。時間も空間も、限定された一部なのです。人は、自分自身とか、自分の思考や感情などが、体のほかの部分とは切り離されているもののように考えています。これは自分の意識に対する一種の幻想です。この幻想は一種の牢屋のようなもので、ここに入ると個人の欲望や自分に近い数人に対する愛情だけに縛られることになります。
私たちは、あらゆる生きものと自然全体を、そのすばらしさゆえに抱擁するために、慈しみの輪を広げてこの牢屋から自分を解放しなければなりません。これが完璧にできる人はいませんが、努力し続けること自体が、この牢屋からあなたを解放し、内的な安定を得るための基礎を作るのです。
このアインシュタインの返信は、私たちがいかに簡単に自分の思考や感情の虜になり、それらを盲目的に受け入れてしまっているかを示しています。
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私見
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