ハロルド・ガーフィンケル
第二次大戦後、ハーバード大学に進学し、新設の社会関係学部でタルコット・パーソンズに師事しながら、同時にアルフレッド・シュッツのもとで研究を行った。ガーフィンケルの関心は、パーソンズと同様に社会秩序にあったが、その分析視点はまったく異なるものであった。パーソンズは独自のシステム理論により社会秩序の統合原理を解明しようとしていたが、ガーフィンケルによれば、社会秩序は本来的に不安定で不確実なものであり、そうした統合原理を見出すことは困難である。しかしながら、人びとはさほどの困難もなく日常生活を営んでいる。そこで、ガーフィンケルは、日常生活のなかで人びとが状況を規定し、自明な現実を構成しようとする意味付与活動に焦点を当てた分析を展開した。