LGBTへの配慮
配慮配慮って言うけどそれは具体的に何
個人の場合
心を読む能力があるわけでもないので、気を使いすぎたり申し訳ないとか恐縮しすぎる必要はない
あなたの言動に対して「困ります」「嫌です」「苦痛です」「不快です」と明確に主張し要求する人が現れたら対応するのでも十分
ただし、当事者にとって、そのような要求をするには、カミングアウトをするのに等しい勇気が必要になる…
ので、普段から多様な事情を抱えた人間が存在しているという前提で振る舞うことができたらベター
たとえ自分自身がLGBT当事者だとしても、社会には自分以外の様々な人間が存在しているのだから、自分の視野や感覚や経験や事情だけを根拠として社会的な主張をするのは慎んでほしい
ある社会問題について、当事者であろうと当事者でなかろうと、いち市民として、社会的な活動や社会的なルールについて何らかの意見を主張するのなら、その社会問題に関する基礎知識やこれまでの歴史的な議論の経緯について把握することに加えて、多様な事情を抱えた人間が存在しているという前提で、実際の当事者の具体的な事例を可能な限り色々と集めるなどして、議論を進めてほしい
学校関係者、医療関係者、公務員、企業の経営者、管理職、サービス業/接客業関係者、施設の責任者、集団を監督する立場の人、ルールを決めたり運用する立場の人の場合
多様な事情を抱えた人間が存在しているという前提で柔軟に活動や事業や議論を進めてほしい
その際、以下に列挙した、配慮が必要な場合の様々な事例が参考になると思います
しかしながら、ありとあらゆる社会的状況を列挙することなどできず、私には想像もできない様々な事情を持った人がいるはずで、ここに書かれていないような配慮が求められる場合もあると思います
ついでに、LGBTに限らず、法律によっていくつかの産業領域では原則的に利用客を拒めないことがあるという情報も知っておいてほしい これまで集団的な社会生活が暗黙の前提としてきたこと
人間は自身の生まれながらの身体・性別・性役割に違和感を持つことなどない
人間は男女の2つの性別に明確に分けられる
人間は異性にのみ性的関心を持つ
姓は結婚・離婚等で変わることがあるが、下の名前が変わることなど滅多にない
以上の暗黙の前提からはみ出している人間は、集団の一員として社会生活を送るうえで摩擦や衝突や困難や苦悩が生じるため、配慮=相談や柔軟な対応や例外的対処や融通や交渉を求めることがあります
同性愛者・両性愛者の場合
トランスジェンダーや性同一性障害でなくても、性別や性役割や服装に違和感を持っている人は存在します
同性と一緒に着替えたり入浴したり宿泊したりするのを苦痛に感じている人は存在します
たとえあなたが同性愛者・両性愛者当事者であったとして、あなたや周囲の当事者仲間が上記のような苦痛を感じていないと言っているとしても、上記のような事情を抱えた人々が同時代に現実に存在する以上、そうした人々への配慮をする必要はないと主張してしまうのはおかしいのではないでしょうか?
同性を社会生活のパートナーとする場合
以下、主な論点を列挙しますが、企業や地方自治体の配慮があれば可能になる事が沢山あります
宿泊施設の利用
→旅館業法および旅館業における衛生等管理要領に同性同士を理由とした宿泊拒否は違法と定められている
公的保険の扶養家族にパートナーを指定できるか?
→法的に不可
任意保険の受取人にパートナーを指定できるか?
→保険会社の配慮があれば可能になるかもしれない
精子提供・卵子提供などの生殖医療を受けられるか?
→法的に不可、海外に行けば可能
子どもの共同親権を持つことができるか?
→法的に不可
養子を迎えられるか?
→法的に不可
里子を迎えられるか?
→地方自治体の配慮があれば可能になるかもしれない
パートナーの緊急手術時に本人に変わって同意ができるか?
→病院の配慮があれば可能になるかもしれない
パートナーの入院時に家族として面会ができるか?
→病院の配慮があれば可能になるかもしれない
家族として一緒に賃貸住宅や公営住宅に住めるか?
→不動産屋や地方自治体の配慮があれば可能になるかもしれない
共同名義で銀行口座やクレジットカードが持てるか?
→法的に難しそう
共同名義で住宅ローンを組んで家が買えるか?
→金融機関の配慮があれば可能になるかもしれない
関係解消時に財産分与は可能か?
→公正証書を作っておくことで法的には可能
パートナーが死亡した際に忌引き休暇として会社を休めるか?
→企業の配慮があれば可能になるかもしれない
パートナーが死別した際に遺産相続は可能か?
→法的に相続は不可能、遺言書を作っておくことで遺産の贈与をすることは可能
トランスジェンダーの場合
トランスジェンダーと性同一性障害は別の概念
性同一性障害は医学用語・法律用語
トランスジェンダーであっても性同一性障害ではないという人は存在します
トランスジェンダーの誰もがホルモン療法を望んだり手術を望んだり戸籍を変更したがったりするとは限らない
LGBTについて語る際にTだけ性同一性障害の場合に限定するような議論の展開は、話を単純化しすぎている
戸籍を自身の望む性別へ変更後であればあらゆる場合においてその戸籍上の性別に従って扱われるのは当然なのでそれ以外の場合について記述する 戸籍変更までの待機期間中の当事者が存在する
20歳未満は戸籍変更が不可
義務教育期間中は様々な配慮や対処が必要
20歳以上でも診断~手術~戸籍変更まで一年以上はかかる
初診から診断がおりるまで最短でも半年はかかる
性同一性障害の診断基準である長期間持続的に性別に違和感を持っているのかどうかを確認する必要があるため
手術前に約一年間程度、望む性別として生活して社会に適応できるかをテストする期間が設けられる
実生活経験(RLE、Real Life Experience)と呼ばれる
RLEを通過後でなければ手術の許可を得るのは難しい
日本国内で手術できる病院が限られているため数年待たされる可能性がある
戸籍を変更しない、変更できない当事者が存在する
20歳以上でも結婚している場合は戸籍変更が不可
離婚や死別していても子どもがいる場合は戸籍変更が不可
性腺摘出の手術ができない、手術がしたくない場合は戸籍変更が不可
手術に耐えられる体質でなければ手術は不可能
呼吸器、循環器、肝機能、腎機能、免疫系に異常はないか?
血液凝固障害はないか?
感染症はないか?
全身麻酔が可能か?
薬物等のアレルギーはないか?
そもそも男でも女でもどちらでも扱われたくないという場合は戸籍変更ではどうしようもない
上記のような様々な理由で、戸籍上の性別と外見的な性別がズレている人間が存在する
男性的な特徴と女性的な特徴を併せ持っているために、集団として社会生活を送るうえで、男性と混ぜられても女性と混ぜられても困る場合のある人間が存在する
髪型
残念ながら現行法では学校は戸籍上の性別に応じて髪型を強制することは合法
残念ながら現行法では企業は戸籍上男性の人間は業務にふさわしく髪の毛を短く維持するよう強制することは合法
建築、飲食など
服装
スーツや制服の着用が事実上強制となっている学校・業界・職場・職種は多い
残念ながら現行法では学校は戸籍上の性別に応じて制服を強制することは合法
残念ながら現行法では戸籍上の性別に合わせて業務にふさわしい特定の服装(制服等)を強制することは合法
土木、建築、製造、金融、交通、飲食など
通名の使用
集団内の文書や連絡網(手紙、メール、チャット)でどこまで通名が使えるか
名刺などで通名を使うことは可能か
在日外国人の事例、判例などが参考になるだろう
トイレ
男性にも女性にも分類されたくない、分類されることが苦痛であるという人が存在するので多目的トイレが必要
そもそも壁が薄くて上下に隙間が空いていたり他人の気配がする密室とは言えないようなトイレの存在自体、野蛮で抵抗を感じる人もいるのではないか
個室トイレ、多目的トイレはあるか
ない場合どう対処するのか
法的には本来の用途(排泄)だけが目的であればどちらの性別のトイレを使っても逮捕されることも起訴されることも裁判で負けることもまず無いと思われる
職場などの場合、周囲と合意を取れるのが望ましい
更衣室
集団での着替えが必要な状況が発生するか
個室の更衣室が存在するか
ない場合どう対処するか
時間をずらして利用させてもらう等
浴室
集団での入浴が必要な状況が発生するか
個室の浴室が存在するか
ない場合どう対処するか
時間をずらして利用させてもらう等
健康診断、予防接種
学校保健安全法および労働安全衛生法によって、学校と企業において定期的な健康診断の実施が義務付けられている
集団健診を拒否して任意の医療機関(かかりつけ医等)で健康診断を受けて結果を提出することが認められている
その場合の診断費用も、定期健診費用に相当する部分は会社が負担することになる
集団健診の場合は個室で行われるのか否か
下着姿での待機などをしていないか
宿泊
学校での宿泊学習、泊りがけでの旅行
企業の泊りがけでの新人研修
企業の泊りがけでの幹部研修
その他、企業の合宿、福利厚生での社員旅行
集団的な社会生活のシチュエーション
学校
学会
病院
企業
任意団体
官公庁
地方自治体
公共施設
ボランティア活動
スポーツ活動
親族関係
友人関係
団体(ツアー)旅行
留置所
刑務所
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