高次多項式の因数分解は10を代入して素因数分解
概要
元の式に適当な値を代入した結果から、その式の因数分解の候補を探す方法
出てくるのは候補なので、展開して元の式になることを確認する必要がある。
元の式と候補への代入結果が一致することは、候補が正しい因数分解であることの必要条件だが十分条件ではない。
うまくいく例
$ x^4 - 3x - 2 の因数分解
$ x = 10 を代入すると$ 9968 = 2^4 \cdot 7 \cdot 89 = 112 \cdot 89 = (10^2 + 10 + 2)(10^2 - 10 - 1) となる。
よって、$ x^4 - 3x - 2 = (x^2 + x + 2)(x^2 - x - 1) と予想される。
実際、右辺を展開すると左辺になるから、因数分解が正しく求まった。
うまくいかない例
$ x^4 + 1 の因数分解
$ x = 10 を代入すると$ 10001 = 73 \cdot 137 = (10^2 - 20 - 7)(10^2 + 30 + 7) となる。
よって、$ x^4 + 1 = (x^2 - 2x - 7)(x^2 + 3x + 7) と予想される。
しかし、右辺を展開すると$ x^4 + x^3 - 6x^2 - 35x - 49 \ne x^4 + 1 となり、これは正しい因数分解ではない。
NOTE
とりあえず実数上で考える(適当な体上の話に拡張できるはず)。 元の式$ f(x) の因数分解が$ g(x) ならば、すべての実数$ x について$ f(x) = g(x) だから、$ f(10) = g(10) である。
逆は必ずしも真ではない。$ f(10) = g(10) だがある実数$ x について$ f(x) \ne g(x) となる$ g は無数にある。
例えば、任意の$ h(x) について、$ g(x) = h(x)(x-10) + f(x) は$ f(10) = g(10) を満たす。
NOTE
$ x = 10 を代入するのは、人間向けの因数分解問題が1桁係数になっていることが多いから。
素因数分解の結果が10進数表記で$ n 次の項に対応しやすい。
参考
https://gyazo.com/849ecd0527473aa0e127168dff577456 https://twitter.com/tria_math/status/1263015097288601600