中華未来主義
人々の権利を制限した権威主義的な資本主義を通じて発展著しい中国やシンガポール(≒中華)にこそ「未来」があるのではないか、という思想
西洋社会が掲げてきた人権などの民主主義的な建前は、グローバルな経済競争が激化する現代において、技術革新や生産性向上を阻む「邪魔者」になってしまった
資本主義の生産性を上げるためには進歩主義的な民主政治を犠牲にしなければならないという意志の投影
AIをはじめとするデジタル・テクノロジーの発達、そして、アメリカやEUの地位低下と中国の一帯一路構想やロシアの新ユーラシア主義の台頭に伴う地政学的な意識の変移とともにせり上がってきた思想 曰く、「AIこそ中華未来主義のシンボルだ」
西側のメディア報道を通じ「奴らが俺たちの仕事を奪っている」とか「奴らの賃金の方が安い」といった非難の声が、AIや自動化と同じく中国人労働者にも浴びせられてきたため
深層学習研究用のコンピュータと無名の中国人労働力が、終わりなき労働のためにプログラムされているという点で、多くを共有しているため AIは、「数学が得意で、コピー生産と大量のデータ学習に専念しつつ、ゲーム・ギャンブル・激務に耽溺する」中国人という紋切り型のイメージと共通する特徴を備えているため
中華未来主義は基本的に幻想にすぎず、新反動主義やオルタナ右翼の運動もそうしたルサンチマンに満ちた幻想がもたらす不安と羨望の表現にほかならない