非圧縮性流れのあれこれ
タイトルは仮題基素.icon
非圧縮性流れは$ \rho=\rm const.ではないです 正しくは、「流体粒子の質量が時間変化しない($ \frac{\mathrm D\rho}{\mathrm Dt}=0)」です
注: $ \frac{\mathrm D\bullet}{\mathrm Dt}:=\frac{\partial\bullet}{\partial t}+\pmb v\cdot\pmb\nabla\bullet
例:
蛇口の温度を途中で変える
冷水から温水に切り替わった時、ある一点(蛇口から水が出るところ)で測定した密度$ \rho(\pmb x,t)は変化するが、先に出てった冷水自体は冷水のままで温度変化しない
熱伝導を考えると切り替わり地点で変化するので、うまい例ではないかもtakker.icon
図解
非圧縮性流体で密度分布が変化する例.icon
緑縦線:空間上の一点で計測する場合
Euler的に観測している
時間によって赤(高密度)になったり白(低密度)になったりする
今回のNSはこっち基素.icon
緑枠:ある流体塊を追跡した場合
Lagrange的に観測している
どの時刻でも密度分布が変化しない
原文はこう基素.icon
https://gyazo.com/d2d61bf216ae7d2c0d883783b12df369
これが間違い?
非圧縮性流れの定義を誤認してるかもしれないと思い、明解水理学p.321-p.322を読み直しましたtakker.icon 間違いは言い過ぎだったぽいです
厳密には$ \frac{\mathrm D\rho}{\mathrm Dt}=0なのはあってる
ただし、通念的には$ \frac{\partial\rho}{\partial p}=0な流体のことを非圧縮性流体と呼ぶ
これに密度が圧力のみの函数であるという仮定$ \rho=f(p)を加えると$ \rho=\rm const.になり、普通これを非圧縮性流体と称することが多い.
ということなので、$ \rho=\rm const.を非圧縮性流体だとしても実用上は問題ないでしょう
takker.iconも$ \rho=\rm const.で問題を解くことがほとんどですし
あと、多分書籍で補足があると思いますが、温度変化する液体や空気の流れをVRで再現する場合は$ \frac{\mathrm D\rho}{\mathrm Dt}\ne0を考慮する必要があります
考え方はNS方程式と同じなはず
これ以外に書籍での補足はありませんでした基素.icon
非圧縮性NSの解を流用しちゃっていいのかなtakker.icon
圧縮性NSは計算しにくいとかあるのかな
シミュレーションのことは不見聞なので言えることはない
ちなみに圧縮性NSはこう
$ \rho\frac{\mathrm{D}\pmb{u}}{\mathrm{D}t}=\pmb{f}-\pmb{\nabla}p+(\lambda+\mu)\pmb{\nabla}(\pmb{\nabla}\cdot\pmb{u})+\mu\pmb{\nabla}^2\pmb{u}
$ \lambda:第2粘性率
非圧縮性流体なら$ \pmb\nabla\cdot\pmb v=0が成り立つので、右辺第3項が消えて非圧縮性NSに一致する
これのことをを調べてる最中に、$ \rho=f(p)と非圧縮性流体の仮定から$ \rho=\rm const.を導いているような記述を複数の文献で見かけて気になったtakker.icon
$ \rho=f(p)\land\frac{\mathrm D\rho}{\mathrm Dt}=0\implies\frac{\mathrm df}{\mathrm dp}\frac{\mathrm Dp}{\mathrm Dt}=0\iff\rho=\text{const.}\lor\frac{\mathrm Dp}{\mathrm Dt}=0
つまり、$ \frac{\mathrm Dp}{\mathrm Dt}\ne0なら$ \rho=\text{const.}を導出できる
$ \frac{\mathrm Dp}{\mathrm Dt}\ne0は仮定に加えなくてもいいのだろうか?
$ \frac{\mathrm Dp}{\mathrm Dt}\ne0はほとんどの場合で成立するだろうから、暗黙の了解としていい?
流体塊にかかる圧力が常に一定なんて有り得なさすぎる
というかそれどうやって流れてんだよ
(この辺論理的に厳密でないが、厳密に導く方法がわからない)
大抵の場合は最初から$ \rho=\rm const.を仮定しているから気にしなくていい?