有限単純群の分類
サムネ
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数学の中で最も偉大かつなぜ成し遂げられたのか首を傾げたくなる業績の一つ
この分類定理の証明は、主に1955年から2004年にわたり出版された、100以上の著者により数百の学術誌において書かれた、計1万5000ページ以上もの成果の集大成である。
適当に束ねて本にするだけでも300ページの本50冊分になる。
適当な本棚の横一段に50冊の本が収まるかもしれないし、収まらずに2段になるかもしれない。
沢山書いている人物の全集くらいの規模。
有限単純群って何よ
有限群$ Gは、台集合$ Gの大きさが有限の群である。 自明群は、単位元のみからなる群$ \{e\}である。 $ N\triangleleft G\quad\Leftrightarrow\quad ^{\forall n\in N\sub G,\forall g\in G}\lbrack gng^{-1}\in N\rbrack
関連: 自明な約数は1とその数自身である。
関連: 素数は非自明な約数を持たず、またそれ自身も1ではない。
リー群について
実リー群: $ Gが群の構造を持ち、$ Gには実数体上有限次元かつ(無限回)可微分な実多様体の構造が定められていて、さらにその群の演算である乗法および逆元を取る操作が多様体としての$ G上の写像として可微分であるもの
複素リー群: $ Gが群の構造を持ち、$ Gには複素数体上有限次元かつ(無限回)可微分な複素多様体の構造が定められていて、さらにその群の演算である乗法および逆元を取る操作が多様体としての$ G上の写像として可微分であるもの
↑実・複素と言わず位相で良いのではないかという気もするSummer498.icon
多様体の定義に実・複素が必要になるから仕方ないが
動機: グニャグニャ図形を線形代数で扱いたいので局所的に線形空間を貼り付けて近似する。
位相多様体: アトラスによって線型空間に局所的に同相な第二可算ハウスドルフ空間のこと。
アトラスはチャートの集まり$ \{\alpha\in\Lambda|(U_\alpha,\varphi_\alpha)\}である。
チャート$ (U_\alpha,\varphi_\alpha)は開集合と同相写像の組である。
位相空間$ Xを覆う開集合を$ U_\alpha\sub X,\quad X=\bigcup_{\alpha\in\Lambda}U_\alphaとし、
任意の添字$ \alphaに対して$ U_\alphaから$ \R^nの開部分集合への同相写像$ \varphi_\alpha:U_\alpha\to\R^nを定める。
アトラスの変換関数$ \varphi_{\alpha\beta}=\varphi_\beta\circ\varphi_\alpha^{-1}は開集合の重なる部分を適切に写すように定める。
始域と終域を$ \varphi_{\alpha\beta}:\varphi_\alpha(U_\alpha\cap U_\beta)\to\varphi_\beta(U_\alpha\cap U_\beta)で定める。
第二可算的空間: 位相空間$ Xの可算個の開集合からなる族$ \mathcal U=\{U_{i}\}_{i=1}^\inftyが存在して、$ Xの任意の開集合が$ \mathcal Uの適当な部分族に属する開集合の和に表されるとき、$ Xを第二可算的空間と呼ぶ。
ハウスドルフ空間: 位相空間$ X上の任意の相違なる2点$ x, yに対して、$ U\cap V=\varnothing であるような$ xの開近傍$ Uおよび$ yの開近傍$ Vが必ず存在するとき、$ Xはハウスドルフ空間
可微分多様体: 変換関数$ \varphi_{\alpha\beta}が全て微分可能なアトラスの同値類を伴った位相多様体
$ C^k級多様体: 変換関数$ \varphi_{\alpha\beta}が全て$ k回微分可能なアトラスの同値類を伴った可微分多様体
$ C^\infty級多様体: 変換関数$ \varphi_{\alpha\beta}が全て$ C^\infty級のアトラスの同値類を伴った可微分多様体
滑らかな多様体とも。
$ C^\omega級多様体: 変換関数$ \varphi_{\alpha\beta}が全て解析的なアトラスの同値類を伴った滑らかな多様体
解析的多様体とも。
複素多様体: 変換関数$ \varphi_{\alpha\beta}が全て複素正則なアトラスの同値類を伴った位相多様体
有限単純群の分類定理 ― 全ての有限単純群は以下の群のいずれかと同型である:
以下3つの無限個クラスの群:
素数位数の巡回群 $ \mathrm C_p
次数5以上の交代群 $ \mathrm A_{n\ge 5}
単純リー群
単純リー群: 連結非可換リー群のうち、単純群でもあるもの ディンキン図形による分類
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$ qを素数の冪$ q=p^mとする。
古典的シュヴァレー群: $ A_n(q),B_{n>1}(q),C_{n>2}(q),D_{n>3}(q)
例外的シュヴァレー群: $ E_6(q),E_7(q),E_8(q),F_4(q),G_2(q)
古典的スタインバーグ群: $ ^2\!A_{n>1}(q^2),\,^2\!D_{n>3}(q^2)
例外的スタインバーグ群: $ ^2\!E_6(q^2),\ ^3\!D_4(q^3)
鈴木群: $ ^2\!B_2(q=2^{2k+1})\quad(k\ge1)
リー群: $ ^2\!F_4(q=2^{2k+1}), ^2\!G_2(q=3^{2k+1})\quad\quad(k\ge1)
(ティッツ群): $ ^2\!F_4(2)'
各系列
A系列$ A_nは特殊ユニタリ群$ \mathrm{SU}(n+1)と関連する。 B系列$ B_nは特殊直交群$ \mathrm{SO}(2n+1)と関連する。 D系列$ D_nは特殊直交群$ \mathrm{SO}(2n)と関連する。 $ \mathrm{SO}(4)は単純群ではないため、$ D系列は3から始まる。
$ B_nはカッコの中が奇数、$ D_nはカッコの中が偶数
古い書籍や論文の中には$ G_2を$ E_2として、$ F_4を$ E_4として書くこともある。
新しい書籍の中ではそれとは異なるものとして$ E_nが定められている。
$ F_4は36次元リー代数$ \rm{SO}(9)にスピノルとして変換する生成元を16個追加することで構築できる。
$ G_2のコンパクト形式は八元数代数の自己同型群として記述できる。
あるいは8次元実スピノル表現において任意の任意の選択された特定のベクトルを保存する$ \mathrm{SO}(7)の部分群として記述できる。
ティッツ群 $ ^2\!F_4(2)' - リー型の群や27番目の散在型単純群に分けられることもある
happy family (モンスター群の部分群または、部分群の部分商)
第一世代
マシュー群: $ \mathrm{M}_{11},\ \mathrm{M}_{12},\ \mathrm{M}_{22},\ \mathrm{M}_{23},\ \mathrm{M}_{24}
第ニ世代
ヤンコ群のうち1つ: $ \mathrm{J}_2
ヤンコにより予想された、$ 2^{1+4}:\mathrm A_5を反転の中心とする2つの新しい単純群の一つである(もう一つは$ \mathrm J_3)。
ホールとウェールズによって、100点上の階数3の置換群として構成された。
コンウェイ群: $ \mathrm{Co}_1,\ \mathrm{Co}_2,\ \mathrm{Co}_3
最大コンウェイ群$ \mathrm{Co}_0はリーチ格子(24次元ユークリッド空間上の偶ユニモジュラ格子)上の加法と内積に関する自己同型群であるが、単純群ではない。
$ \mathrm{Co}_1は$ \mathrm{Co}_0のそれ自身の中心による商群である。
$ \mathrm{Co}_2,\mathrm{Co}_3はタイプ2とタイプ3の格子ベクトルを固定した Λ の自己同型群として構成される。
この2つは$ \mathrm{Co}_1の部分群と同型である。
散在型鈴木群: $ \mathrm{Suz}
マクラハラン群: $ \mathrm{McL}
マクラハランにより、275個(1+112+162個)の頂点を持つマクラハラングラフのに作用する階数3の置換群の指数2の部分群として発見された
リーチ格子に2-2-3三角形を固定するため、コンウェイ群$ \mathrm{Co}_0,\ \mathrm{Co}_2,\ \mathrm{Co}_3の部分群になる。
群$ 3.\mathrm{McL}:2はライオンズ群$ \mathrm{Ly}の最大部分群になる。
ヒグマン=シムズ群: $ \mathrm{HS}
ヒグマンとシムズにより発見された有限単純群。
$ \mathrm J_2に関する発表をヒントに100点の階数3の他の置換群を調べると、$ \mathrm M_{22}と同型な一点安定群を持つ群として$ \mathrm{HS}が見つかった。
コンウェイ群やリーチ格子との関連も見出される。
第三世代
モンスター群: $ \mathrm M
(フィッシャー=グリース・モンスター群)
フィッシャーとグリースにより、ベビーモンスター群$ Bの二重被覆を反転の中心として持つ単純群として予想された群
この群が予想されたことにより、その時点で既知であった散在群の多くと、トンプソン群$ \mathrm{Th}と原田=ノートン群$ \mathrm{HN}が部分商として発見された。
グリースが、実数体上の$ 196,883=47×59×71次元の可換非結合代数であるグリース代数の自己同型群として$ Mを構築した。
ベビーモンスター群: $ \mathrm B
フィッシャー群: $ \mathrm{Fi}_{22},\ \mathrm{Fi}_{23},\ \mathrm{Fi}_{24}'
フィッシャーが、3-転置群 (3-transposition group) を研究する中で発見した。
3-転置群$ Gは位数$ 2の共役類$ Dにより生成される。
2つの異なる転置$ a,b\in Dの積$ abは位数が$ 2または$ 3になる。
トンプソン群: $ \mathrm{Th}
原田=ノートン群: $ \mathrm{HN}
ヘルド群: $ \mathrm{He}
(ティッツ群): $ ^2\!F_4(2)' 27番目の散在型単純群とみなされるならこの世代に入る
pariah (のけもの) 群
ヤンコ群のうち3つ: $ \mathrm{J}_1,\ \mathrm{J}_3,\ \mathrm{J}_4
$ \mathrm J_3はヤンコにより予想された、$ 2^{1+4}:\mathrm A_5を反転の中心とする2つの新しい単純群の一つである(もう一つは$ \mathrm J_2)。
Weiss が基礎幾何学を用いて$ \mathrm J_3を構築した。
$ \mathrm J_3は位数2の外部自己同型群と位数3の Schur 乗数を持つ。
$ \mathrm J_3の三重被覆は$ \mathbb F_4上の9次元ユニタリ表現$ \mathrm{U}_9(\mathbb F_4)をもつ。
$ \mathrm J_3は$ \mathbb F_9上の18次元のモジュラー表現$ \mathrm{GL}_{18}(\mathbb F_9)を持つ。
$ \mathrm J_3は18次元の複素射影表現$ \mathrm{PGL}_{18}(\mathbb C)を持つ。
$ \mathrm J_1はヤンコにより予想された、2-シロー可換群を部分群として持ち、その反転の中心が回転二十面体群$ \mathrm C_2\times\mathrm A_5と同型であるような単純群である。
ヤンコ自身が$ \mathbb F_{11}上の7次元直交行列$ \mathrm{SO}_7(\mathbb F_{11})によるモジュラー表現を発見した。
$ \mathrm J_4はヤンコにより発見された、$ \mathbb F_2上の112次元のモジュラー表現$ \mathrm{GL}_{112}(\mathbb F_2)を持つ単純群である。
ルドヴァリス群: $ \mathrm{Ru}
オナン群: $ \mathrm{O'N}
ライオンズ群: $ \mathrm{Ly}
26の散在型単純群の部分商関係
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$ \mathrm J_3と$ \mathrm{Ru}は完全に孤立している
分類は完全に独立したものに分けられているわけではなく、重複と、例外がある。
重複
$ A_1(4)\simeq A_1(5)\simeq \mathrm A_5$ \quad左2つが古典的シュヴァレー群、右が交代群
$ A_1(7)\simeq A_2(2)$ \quad2つとも古典的シュヴァレー群
$ A_1(9)\simeq\mathrm A_6$ \quad左が古典的シュヴァレー群、右が交代群
$ A_3(2)\simeq\mathrm A_8$ \quad左が古典的シュヴァレー群、右が交代群
$ B_n(2^m)\simeq C_n(2^m)
$ B_2(3)\simeq\ ^2\!A_3(2^2)
$ C_n(2^m)\simeq B_n(2^m)
例外 (単純群ではない)
$ A_1(2)\simeq S_3
$ A_1(3)\simeq\mathrm A_4
$ B_2(2)\simeq S_6
$ G_2(2)\triangleright\ ^2\!A_2(9)
$ ^2\!A_2(2^2)\triangleright \mathbb Q_8/\mathrm C_3\times\mathrm C_3
$ ^2\!F_4(2)\triangleright\ ^2F_4(2)'
左がリー群、右はティッツ群
参考:
散在群の位数
モンスター群はその名に恥じない巨大さを持つ
モンスター群: $ |\mathrm M|= 808,017,424,794,512,875,886,459,904,961,710,757,005,754,368,000,000,000
$ = 2^{46}·3^{20}·5^9·7^6·11^2·13^3·17·19·23·29·31·41·47·59·71
$ \approx 8×10^{53}
ベビーモンスター群: $ |\mathrm{B}|=4,154,781,481,226,426,191,177,580,544,000,000
$ = 2^{41}·3^{13}·5^6·7^2·11·13·17·19·23·31·47
$ \approx 4×10^{33}
フィッシャー群24: $ |\mathrm{F}_{24}|=1,255,205,709,190,661,721,292,800
$ = 2^{21}·3^{16}·5^2·7^3·11·13·17·23·29
$ \approx 1×10^{24}
ヤンコ群4: $ |\mathrm{J}_4|=86,775,571,046,077,562,880
$ = 2^{21}·3^3·5·7·11^3·23·29·31·37·43
$ \approx 9×10^{19}
コンウェイ群1: $ |\mathrm{Co}_1|=4,157,776,806,543,360,000
$ = 2^{21}·3^9·5^4·7^2·11·13·23
$ \approx 4×10^{18}
フィッシャー群23: $ |\mathrm{F}_{23}|=4,089,470,473,293,004,800
$ = 2^{18}·3^{13}·5^2·7·11·13·17·23
$ \approx4×10^{18}
トンプソン群: $ |\mathrm{Th}|=90,745,943,887,872,000
$ = 2^{15}·3^{10}·5^3·7^2·13·19·31
$ \approx9×10^{16}
ライオンズ群: $ |\mathrm{Ly}|=51,765,179,004,000,000
$ = 2^8·3^7·5^6·7·11·31·37·67
$ \approx 5×10^{16}
原田=ノートン群: $ |\mathrm{HN}|=273,030,912,000,000
$ = 2^{14}·3^6·5^6·7·11·19 ≈ 3×10^{14}
フィッシャー群22: $ |\mathrm F_{22}|=64,561,751,654,400
$ = 2^{17}·3^9·5^2·7·11·13
$ \approx 6×10^{13}
コンウェイ群2: $ |\mathrm{Co}_2|=42,305,421,312,000
$ = 2^{18}·3^6·5^3·7·11·23
$ \approx4×10^{13}
コンウェイ群3: $ |\mathrm{Co}_3|=495,766,656,000
$ =2^{10}·3^7·5^3·7·11·23
$ \approx 5×10^{11}
オナン群: $ |\mathrm{O'N}|=460,815,505,920
$ = 2^9·3^4·5·7^3·11·19·31
$ \approx5×10^{11}
鈴木群: $ |\mathrm{Suz}|=448,345,497,600
$ = 2^{13}·3^7·5^2·7·11·13
$ \approx 4×10^{11}
ルドヴァリス群: $ |\mathrm{Ru}|=145,926,144,000
$ = 2^{14}·3^3·5^3·7·13·29
$ \approx1×10^{11}
ヘルド群: $ |\mathrm{He}|=4,030,387,200
$ = 2^{10}·3^3·5^2·7^3·17
$ \approx 4×10^9
マクラハラン群: $ |\mathrm{McL}|=898,128,000
$ = 2^7·3^6·5^3·7·11
$ \approx 9×10^8
マシュー群24: $ |\mathrm M_{24}|=244,823,040
$ = 2^{10}·3^3·5·7·11·23
$ \approx2×10^8
ヤンコ群3: $ |\mathrm J_3|=50,232,960
$ = 2^7·3^5·5·17·19
$ \approx5×10^7
ヒグマン=シムズ群: $ |\mathrm{HS}|=44,352,000
$ = 2^9·3^2·5^3·7·11
$ \approx4×10^7
ティッツ群: $ |^2\!F_4(2)'|=17,971,200
$ = 2^{11}·3^3·5^2·13
$ 2×10^7
マシュー群23: $ |\mathrm M_{23}|=10,200,960
$ = 2^7·3^2·5·7·11·23
$ \approx1×10^7
ヤンコ群2: $ |\mathrm{J}_2|=604,800
$ = 2^7·3^3·5^2·7
$ \approx6×10^5
マシュー群22: $ |\mathrm M_{22}|=443,520
$ =2^7·3^2·5·7·11
$ \approx4×10^5
ヤンコ群1: $ |\mathrm{J}_1|=175,560
$ = 2^3·3·5·7·11·19
$ \approx2×10^5
マシュー群12: $ |\mathrm M_{12}|=95,040
$ = 2^6·3^3·5·11
$ \approx 1×10^5
マシュー群11: $ |\mathrm M_{11}|=7,920
$ = 2^4·3^2·5·11
$ \approx8×10^3