昆虫食まとめ
@DrNyao: 昆虫食などの代替たんぱく質の話が最近ぞろぞろ出てきているバックグラウンドについて現時点での自分の理解を記録する意味を兼ねて書いてみる。 @DrNyao: 牛、豚、鶏といった食肉用家畜は、集約的な畜産システムの発達により広い土地を占有することはなくなりつつあるが、逆に多くの穀類をその生産のために独占しつつある。特に大豆は家畜の主なタンパク源として用いられている。 @DrNyao: 大豆の飼料としての利用は牛がかなりの割合を占めている。牛は増肉係数(収穫可能な可食部の量あたり消費する飼料量)が大きい生き物として有名で体重ベースで5-8,可食部ベースだと非常に大きくなり、試算によれば30以上というものもある @DrNyao: つまり1キロの牛肉を作るのに30キロの飼料が必要で、その多くの部分は大豆が使われているとおいうことになる。換言すると30キロの大豆を収穫可能な大豆畑から1キロの牛肉が生産されることになる。 @DrNyao: 豚は牛よりはましであるものの増肉係数は4程度あり、それは1キロの肉を得るのに4キロの大豆が必要ということになる。養豚廃棄物もメタンの発生源であり、かつ、水質汚染の大きな原因にもなっている。(水は重要資源で、これも可能利用量の問題がある) @DrNyao: 実は鶏はこの中では最も増肉係数が低く1台をマークしている。つまり、与えたえさの量がそのまま肉になるわけで非常によさそうに思われる。だがここには別の問題がある。 @DrNyao: 鶏の餌には魚粉が使われている。魚粉とはイワシなどの小魚を粉砕してつくられるタンパク源で、家畜飼料や養殖漁業用飼料として使われる。ところが、この原材料であるイワシは天然資源であるため、乱獲による資源枯渇が心配されている。 @DrNyao: 欧州などでは早くからイワシの漁獲調整などを行って資源回復を期しているが、魚粉必要量を満たすために例えばチリ沖などでの大規模な漁獲が行われている。水産天然資源の資源量推定は難しいのだが、漁獲量が減っていることは確かなようで、資源の枯渇が心配されている ・可耕作地が頭打ちになっているがその限られた農地で作られた穀物は家畜のえさにすることで量的に1/4-1/30に減ってしまう
・もう一つのタンパク源魚粉は資源枯渇の危機にある
から
1.増肉係数が低く
2.農地競合や水産資源依存が少ない
タンパク質源が必要と考えられている
@DrNyao: 代替たんぱく質として考えられているもので今一番成功しているのは植物由来の「肉」だろう。これは主に大豆から作られており、本物そっくりの「肉」を提供している。この増肉係数は1であり、非常に良いソリューションであることは論を待たない @DrNyao: ただ、一つだけ問題がある。これは、ヒトは雑食性であるため動物たんぱく質のアミノ酸バランスが必要であるという点で、植物たんぱく質のみを食べていると早晩特定のアミノ酸が不足してしまうことになる。量を食べることで回避は可能だが、それではせっかくの増肉係数1が台無しである @DrNyao: 培養肉というものもある。これは臓器再生技術として注目されているオルガノイド技術を用いて筋肉を人工的に培養しようというものだ。日本でもインテグリカルチャー社が無血清培養システムで安価な培養肉生産への先鞭をつけている。日清が謎肉を培養で作るという発表をしたのも興味深い。 @DrNyao: ただ、これにも問題がある。増肉係数の問題もあるがエネルギー効率的にペイするかはかなり微妙だと考えられる。また、清浄環境中での生産が求められるので、コストバランス的にも現状では高価につく可能性が高い。 @DrNyao: そこで出てきたのが昆虫である。昆虫は元々ヒトを含む霊長類の主要なタンパク源であり、増肉係数はほぼ1、多様な食性の種が知られていることから様々なバイオマスを動物たんぱく質へ変換することが可能である。 @DrNyao: 現在主要な昆虫食の材料であるコオロギは、雑食性の昆虫なので餌としては養鶏飼料とほぼ同じものを与えられて育てられている。実は鶏とコオロギでは増肉係数がそれほど変わらないので鶏肉を食えばいいじゃないかという意見はもっともなのだが、実はコオロギには利点がある @DrNyao: ひとつは非常にコンパクトに飼うことができるので養殖場を縦方向にスタックすることが容易であること。養鶏自体も土地面積効率が良い畜産であるが、それをさらに高効率にできる。さらに、飼育ユニットを小さくできるので生産の自動化が養鶏に比べてさらに容易な点がある @DrNyao: ちなみに、コオロギは餌を制御することで、野生個体で問題になる土壌由来のヒ素やカドミウムの蓄積を完全になくすことが可能である。これは逆に地植えの植物生産に比べてはるかに安全である。いわんや微生物叢をや。 @DrNyao: アレルギー問題は慎重に取り扱う必要があるが、逆にアレルギー問題がないタンパク源は存在しないことにも留意すべきである。これについてはすでにアレルゲンたんぱく質に関する研究が進められている。元々ヒトの祖先も樹上生活時には昆虫が主要タンパク源だったことも銘記すべきだろう @DrNyao: 一般的な観点から見たタンパク源としての昆虫のデメリットはただ一つ、なんかキモイ。これだけである。 @DrNyao: 虫嫌いの人にとっては、直接食べないという方針があることは救いかもしれない。これはアメリカミズアブやハエの幼虫の養殖で、世界中でその高度化に向けた試みがなされている。 @DrNyao: ウジは食品廃棄物や畜産廃棄物を飼料として育てることができるので、どうしても出ざるを得ないこれらの有機廃棄物を可食タンパク質としてリサイクルすることができる。ウジは鶏が好んで食べるので、有機廃棄物→ウジ→鶏というルートでタンパク質を高効率に利用しつくすことが可能になる @DrNyao: 実は水産養殖用の飼料としてもこのウジは期待されていて、藻類培養によって生産されたオメガ脂肪酸と共に飼料に練りこむことで魚粉の代替タンパク源として利活用する試みが様々な研究機関で行われている 肉や魚だけでなく、海藻もオメガ脂肪酸を含むのかはるひ.icon
厳密には魚が食べた藻中(喪中ではない)のALAをDHAやEPAに変換するのと同じように、人間もALAを食べることで同様の効果により有益なオメガ3脂肪酸を摂取できるということかな ALA自体も血圧低下、抗炎症作用等がある有益なオメガ3脂肪酸
1.増肉係数が低く
2.農地競合や水産資源依存が少ない
を満たしつつ、タンパク質リサイクルや天然水産資源の温存にも役立つ、優れた資源なのである
@DrNyao: ちなみに、将来的には様々な昆虫の食性を利用して、もっとユニークな資源利活用の可能性もあるかもしれない。昆虫はその驚くべき多様性によってあらゆるバイオマスに適応しているので、虫の世界を見渡すと、なにかスゴイゲームチェンジャーが見つかるかもしれない。 noteにまとめました
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おもろ
公園で捕まえたセミを食べたことがある