性食考
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内容
「食べちゃいたいほど,可愛い.」このあられもない愛の言葉は,〈内なる野生〉の呼び声なのか.食べる/交わる/殺すことに埋もれた不可思議な繋がりとは何なのか.近代を超え,いのちの根源との遭遇をめざす,しなやかにして大胆な知の試み.神話や物語,祭りや儀礼等を読み解き,学問分野を越境してめぐる,魅惑的な思索の旅. 目次
はじめに
序 章 内なる野生
野生の呼び声が聞こえる
汚れた野生の王国のかたわらで
いのちの根源は、ひとつか複数か
第二章 異類婚姻譚
縫いぐるみの神話学
残酷なるもの、結婚とわかれ
ふつうの動物との結婚
生き物はみな人間に姿を変える
第三章 食と性と暴力と
子どもを食べたがる怪獣たち
グリムの森の魔女と動物たち
哄笑と残酷のゼロ地点に
子どもの本のおいしい食べ方
第四章 動物をめぐる問題系
糞と尿のあいだから生まれる
自己からの距離、分類とタブー
内なる動物性からの逃走という逆説
自己消費のタブーから共同の家へ
第五章 はじまりの神話
自己愛と残酷を超えるために
性のはじまり、複製から自己創出へ
神話は泥の海を欲望する
第六章 女神の死
腐敗と恐怖をめぐる形而上的な問い
女神の殺害と生殖のはじまり
神話は祭りのなかで再演される
第七章 大いなる口
大いなる口は小さな劇場である
ふたつの口が妖しい出会いを果たすとき
第八章 生け贄譚
桜の樹の下は魂鎮めの現場である
まな板と箸と庖丁、痛みの記憶とともに
贖罪の供犠と儀礼化、その終焉へ
桟敷には根源的な暴力が埋もれている
終 章 愛の倒錯
あとがき
主な参考文献
面白すぎて一気読みしましたhatori.icon
性と食とタブーについての著者によるユニークな思索をまとめた、あまり類のない本です(エッセイ風) 前々から漠然と「性(欲)」と「食(欲)」にはつながりがあるよな~と感じていましたが、この点について数多くの興味深い引用やアイデアを伴いつつ言語化されている刺激的な読み物です
いちおう注意しておくと、本書では脳科学的な背景は追及されていません