可換図式
なにやら重要そうな概念cFQ2f7LRuLYP.icon
圏論で登場する図はあまりにも抽象的にまとまっており、初見だと何を表しているのかわからない
各部分について順を追って理解すれば図全体が言いたいことも理解できる
関数
圏論の話の前に、関数を表すときによく使われる表記を復習しよう $ f:X\to Y
関数$ fが定義される部分集合$ D\sub Xは 定義域 と呼ばれる 関数$ f の出力全てを集めた集合$ \left\{y\middle|\begin{matrix}_{\forall x\in D}\\ [y=f(x)]\end{matrix}\right\} は 値域, 像 呼ばれる 合成関数
関数を合成してみよう
関数$ f:X\to Y と 関数$ g:Y\to Zがあるとき
$ g(f(x))のように関数を適用した後で関数を適用できる
これを$ (g\circ f)(x)としてまとめて書ける
これを関数の合成という
合成関数をまとめよう
関数 $ h=g\circ fとして合成関数をまとめよう
関数$ hの始域と終域は次のようになる$ h:X\to Z
矢印をまとめる
先の説明で現れた矢印をまとめよう
$ f:X\to Y , $ g:Y\to Z, $ h:X\to Z
これを1つの絵にまとめると次のようになる
https://gyazo.com/23f9474d9b7baf19016eb741fbdff614
可換図式だ!
「可換」とは
この図自体は始域と終域が一致さえすれば関数の実装が一致しなくても書けてしまう
例: $ f:\N\to\mathbb Q, $ g:\mathbb Q\to\mathbb R, $ h:\N\to\R
$ f(n)=\frac{1}n, $ g(q)=\sqrt q
ここで、$ g\circ f:\N\to\Rの実装は$ (g\circ f)(n)=\sqrt{\frac1q}となる
$ hの実装を$ h=(g\circ f)(n)=\sqrt\frac1qとすることもできるし、
型だけ同じで全く関係ない
$ h=2\pi nとかにもできる
関数の実装が一致する$ h=g\circ hときは$ Xから$ Zまでの経路は
$ f,gを通るものと$ hを通るもののどちらを選んでも良い
https://gyazo.com/b2c0cff1b641d3be0da94b5ca8a68dfb
↑ どっちのルートを通ってもいい
このときにこの図が「可換である」という
可換であるような図式を「可換図式」という
ここまで読み終えたら可換図式は「ヘンテコな図」ではなくなったはず
いろんな可換図式
https://gyazo.com/c08bed86b7b6abfe201978cf34b3dd96
$ h\circ(g\circ f)=(h\circ g)\circ f
合成してない関数が垂直/水平になるように描くとわかりやすいね
https://gyazo.com/0083056e5a49133c50c17a8910c3ee1d