動的分類学
早田文蔵が提案した
これは恣意的に一部の形質のみに着目して系統樹を作成する従来の分類学に対し、多数の形質からネットワーク的分類図式を作ろうとしたものであり、後の表形分類学に似た考えであるが、理論的には大成されずに終わった。
早田文蔵-Wikipedia
『分類思考の世界-なぜヒトは万物を「種」に分けるのか(著:三中信弘)』から
三中信弘の解説
ここで、早田の提唱した「動的分類学」について説明しよう。万物はネットワーク関係で結びつけられると主張した早田は、たくさんの特徴(形質)を観察して、それらに関する類似性を同時に考慮すべきだと言う。これが「動的分類」である。この動的分類に照らしたとき、ひとつひとつの特徴に基づく分類は「静的分類」とみなされる。ドイツの植物学会誌に掲載された早田の論文(一九三一年)を読むと、複数の形質軸がつくる高次元空間の中で対象を分類することが、彼のいう動的分類であることがよくわかる。そして、この高次元空間をもっと少ない数の形質軸がつくる部分空間に射影することにより、静的分類が得られるという構想を彼は抱いていた。
早田文蔵「植物ノ動的分類体系ニ就キテ」一九三二年、三四六頁、原文ドイツ語
ここで、それぞれの種や遺伝子を私がどのように理解しているかを示すためにこんなたとえ話をしてみよう。この宇宙はおびただしいガラス玉がつながってできる広大無辺なネットワークである。それぞれのガラス玉は色の異なる網の上にあって、他のガラス玉の像を反射する。その結果、観察者が見る位置によって異なる模様が現れることになる。しかし、それは観察者の目には異なって見えるにすぎない。実際に存在するのはすべて同じ無色のガラス玉だからである。
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Bunzô Hayata 1921. The natural classification of plants according to the dynamic system.
臺灣植物圖譜・臺灣植物誌料・第拾巻,臺灣總督府民政部殖産局編
面白いnishio.icon
おもしろいですよね〜♪utanaka.icon
三中さんの古いブログ記事を追記
宮沢賢治と早田文蔵:華厳経の「インドラの網」と高次元分類ネットワークとの関係 - archief voor stambomen
宮沢賢治
華厳経
/nishio/華厳まとめ
インドラの網
南方マンダラに似ている